中国人観光客の受け入れ基準の緩和を岡田克也外相が18日、正式に表明した。7月以降、個人客向けの査証(ビザ)の発給対象を中間所得層まで広げる。中国人観光客の大幅な増加が見込まれ、個人消費の低迷に苦しむ観光、小売りなどの業界は、彼らの旺盛な消費に早くも期待を膨らませている。

 「どんどん来てください。お待ちしています」。岡田外相は18日の記者会見で「中国」にこう呼びかけた。ビザの発給要件を満たす層は、これまでの10倍の約1600万世帯になるなどの見通しも示した。

 旅行、小売業など日中17社でつくる「中国訪日需要喚起に関する勉強会」は、中国 観光客がもたらす日本での経済効果は2008年の1200億円から、ビザ拡大で12年には4300億円に増えると試算。観光庁は、19年に全体で2500万人(09年の約3.5倍)の訪日旅行目標を達成すれば、直接、間接の経済効果は14兆円、雇用波及効果は82万人になるとはじく。

 旅行関連業界は、中国人の受け入れ態勢づくりに余念がない。

 これまで中国 旅行客に力を入れてきたプリンスホテルグループの09年度の中国人宿泊者は約11万人と、08年度比で約5割増。「宿泊者数全体が落ち込む中で重要なマーケット」とみて、現在9ホテルにある中国語のテレビチャンネルを今年度中に約45ホテルに拡大する。中国語を話せるスタッフも5年で約3倍に増やす計画だ。

 全日本空輸は09年秋から中国人向けキャンペーンを展開し、団体客が約4割増えた。半数以上が中国で公開されヒットした映画でロケ地になった北海道に行くため、日中路線に加え、国内線利用にも寄与しているという。ビザ拡大に合わせて、新たなキャンペーンを計画中だ。

 近畿日本ツーリストは、10年の中国関連のツアー商品などの取扱高を前年比で倍増させ、アジアからの旅行者の売上高に占める割合を現在の15%程度から20%まで増やす計画だ。JTBは3月末から中国で月間1千万アクセスがある旅行サイトに、「快楽日本遊」(楽しい日本の旅行)を開いた。