旅行各社が異業種企業との提携を加速している。少子化で将来的な旅行市場の縮小が見込まれる中、異業種連携による相乗効果で顧客獲得、販路拡大を図るのが狙いだ。旅行商品はもともと類似性が高いため、業界には独自サービスを打ち出したいとの思惑があった。異業種の力を借りれば、似たり寄ったりのツアー商品にも他社との違いを盛り込むことができ、生き残りの切り札として広がりそうだ。
近畿日本ツーリストは今月、文具大手、コクヨの子会社でオフィス用品の通信販売を行うカウネットと提携、法人向けの業務出張分野での販路拡大を目指す。
近ツーの企業向け出張手配事業とカウネットの顧客を紹介し合う。「当社の契約先となるのは企業の総務、経理部門。カウネットの契約先と重なるため、販路拡大などの相乗効果が見込める」(近ツー)という。
日本旅行は警備会社のセコムの子会社と提携し、海外で地震やテロなどが起きた際に、携帯電話で旅先の家族の安否確認ができる個人向けサービスを今月から始めた。
事前に指定した国の事故や災害情報を、本人や家族に携帯電話のメールで知らせるサービスで、家族専用の携帯向け掲示板も提供する。日本旅行のホームページなどから申し込むことができ、海外旅行商品の付帯サービスの一つとして、顧客開拓に役立てる。
最大手のJTBはJCBや住友信託銀行など幅広い分野の企業と提携してきたが、新たに外国語教室のベルリッツ・ジャパンと提携。来年初めにも共同で、外国語の会話レッスンと海外旅行を組み合わせたシニア向け商品を発売する。
「海外旅行時は外国語学習への興味が高まりやすい」という点に着目した。ベルリッツは海外旅行で必要となる会話を盛り込んだ語学レッスンを旅行前に提供し、旅行説明会の際にも無料の語学体験講座を開催する。
これら提携の背景には「市場縮小に備えたい」(JTB)という旅行業界の切実な願いがある。
日本人の海外旅行者数は団塊の世代の旺盛な旅行熱を背景に、平成18年は史上2番目の1753万人に達した。しかし、ピークの12年(1782万人)に比べて20歳代が約120万人も減るなど若年層の旅行離れが目立ち、旅行各社には「少子化の進展を考えれば旅行市場は先細りが確実」との見方が広がっている。
一方で、消費者の要求は多様化。「今までのような似たり寄ったりの商品では見向きもされなくなる」(日本旅行)との危機感もあるとされる。