彼女がいかに「女性」であったか

〜1、彼女がいかに      
     「女性」と認識していたか〜

 

 

2、何の疑いも持たない心

 

 

  2−1、女性の心

 

 

突然神々の会話を見せてしまいましたが、私もこの女性の言うとおりだなと感じていまして。

 

 

というのも魅由鬼は本当に 自分のことを当たり前に女性だと考え、

そして何より 女性と同じく 傷つく心を持っているのです。

 

 

そう言える根拠をこれから話していきます。

 

 

 

 

  2−2、何の疑いもない

 

 

 

まず、彼女は

自分が女だと思われていることに対して何の不思議も感じていないように思えます。

 

 

 

 

 

彼女は "本当は男" でありながら、桑原から "女だと思われた" 上に、女だから戦えないという "女性としての好待遇" まで受けています。

 

 

なのにそれに対して 喜びもしなければ、相手を騙しているような罪悪感を抱いている様子もないのです。

 

 

 

トランスジェンダーの立場で言えば、

普通だったら

 

自分が女性と見られただけでも嬉しいばかりか、

 

(普通に戦ってほしいという思いこそあったにせよ)自分が女性として大事にされるような扱いまで受けたのですから、

 

 

それ自体はたまらないはず。

 

 

か、あるいは

 

「自分を女と思わせてしまった上にそれで相手に気を遣わせてしまっている」と感じ、

 

相手に対する申し訳ない気持ちや、相手を騙してるような罪悪感を抱いてしまうかもしれません。

 

 

しかし彼女にはそのどちらもないのです。

 

 

もちろん少なくとも彼女に 相手を騙してやろう という気持ちがあったということはありませんし、

 

私に言わせれば、彼女が何か自惚れている といったことでもありません

 

 

 

 

  2−3、自惚れではない根拠

 

 

 もし彼女に自惚れや「女」として見られることへの絶対の「自信」のようなものがあったのなら、

幽助にその股間を掴まれた時の反応には違和感を抱きます。

 

 

 

というのも、

 

 

そういう気持ちがあるということは、少なからずとも「自分が男だ」という意識を持っている ということになるはずです。

本当は男なのに、女と見られている」。その気持ちがあるからこそ、自惚れや女と見られる絶対の自信になるのです。

 

 

であれば、幽助によって男性器の存在を知られたことは、その「」と見られることへの「自信」を揺るがされる事態のはずです。

 

 

「自分が男である」ことが知られてしまったわけですから、「女」としての扱いを受けなくなるかもしれなくなったわけです。

 

 

にも関わらず股間を掴まれた彼女の反応は

 

(胸を触られたことへの恥ずかしさや怒りを抱くばかりで)

そういうことを気にしたり焦ったりしているようにはとても思えません

 

 

  

 

 

こういったことからも、彼女の態度が、自惚れや「女」と見られることへの絶対の自信からくるものではないと、少なくとも私は思います。

 

 

 

  2−4、本当の理由

 

 

では一体なぜ、彼女はこのような喜びも罪悪感も抱かず当たり前のような態度が取れたのか。

 

それは恐らく、自分が女性であることに少しの疑問も抱いていないから ではないでしょうか。

 

 

 

 

 

私は先ほど、「トランスジェンダーの立場で」と話しましたが、

 

「女性と見られて嬉しい、申し訳ない」と思う気持ちは、結局は「(自分が)女性と見られることを、当たり前と思っていない」という気持ちがあるからこそのものだと思います。

 

 

「自分は男性として生まれている」という意識があり、それ故「本当の女性ではない」と思っているからこそ

「そんな自分のことを女性として見てくれるなんて」という気持ちが働くのです。

 

 

そしてそれが彼女にはないのです。

 

 

彼女は自分が「男性として生まれた」という意識もなければそれ故「本当の女性ではない」という意識もないのです。

 

 

 

彼女の感覚は恐らく、普通の女性が自分のことを当たり前に女だと思っているのと同じ感覚なんじゃないかという気がします。

 

世の女性達の中に自分がいて、自分はそのうちの1人 という風に当たり前に考えている。

 

「自分は男だ」とか「本当の女性じゃない」なんて微塵も思っておらず

自分が女性であることを、ごく当たり前の事実として考えている

 

 

彼女からはそんな様子を感じます。

 

 

 

そしてそのため、普通の女性が自分を女性と言われても何も思わないのと同じように、彼女もまた自分を女性と言われることには何も思わないのです。

 


 

だからこそ桑原から「女」と思われようと「だから戦えない」と言われようと、特段そこに喜びや罪悪感も抱くこともなかった。

 

普通の女性がそう言われた時と同じ感覚で、彼女は桑原の言葉を聞いていたのです。