彼女がいかに「女性」であったか

〜3、受けた仕打ちの酷さ〜

 

 

 

 

  1、彼女の努力

 

 

(前の記事でトランスジェンダーの感覚について話しましたが)

もしみなさんが今の性と違う体で生まれていたらどう感じますか?

 

 

そしてそのせいで、周りが体の方の性でしか扱ってくれなかったら

 

 

そうされないためには、そして自分が少しでも本来の性で見てもらうためには相当な努力とお金をかけるしかない。

 

トランスジェンダーは生まれつきの本来どうしようもないことのせいで、本来の性で見てもらえない。

 

そういった中で生きているんだと、個人的には感じています。

 


 

でもそこから抜け出すために、自分の本来の性でいられるために、魅由鬼はちゃんと生易しくない努力をしてきているはずです。

 

 

 

 

彼女は不遇の中にあっても必死に努力してきたし、

(これだけの美しさを維持するためには)恐らく今も、血の滲むような努力を当たり前のようにこなしていることでしょう。

 

 

でもそんな彼女の努力さえ幽助は認めなかったのです。

そんな彼女に、「てめぇも男なら」と、

 

彼女が女だと言うことさえ許さなかったのです。

 

 

 

 

  2、普通の女性で言えば・・

 

 

こんな例え方をすると過剰に感じるかもしれませんが、

 

彼女の受けた仕打ちは例えるならこんな感じでしょうか?

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

主人公達の前に刺客が現れた。

そしてその敵として現れたのは、普通の女性(トランスジェンダーでもなんでもない)であったが、

 

主人公はその女性の顔や胸を殴り蹴り、その相手を手加減もせずにボコボコにした。

 

 

それを仲間に諌められた主人公は、

「相手が女だったら手加減した。けどそいつは女じゃねえ、そいつは男だ。だからボコボコにした」と言い、

 

「一応調べてみたらな、肩幅が42cm もありやがった」と続けた。

 

主人公としては「こんな肩幅のでかいやつが女な訳ねえだろ」と。

わざわざ女性の肩幅の広さを強調した上で、「だからこいつは男だ」と言い切っている。

 

 

それに対して女性が不当な仕打ちを受けたことに泣きそうな気持ちで反論する。

「差別だわ、肩幅が広いからって、手加減しないなんて!

 

たとえ肩幅が広くたって、私の心はれっきとした女なのよ!」

 

 

それを聞いた主人公は女性の胸ぐらと股間を鷲掴み、女性を怒鳴りつけながらその体を持ち上げる

 

「ざけんじゃねえ!てめぇも男なら!半端なことしてんじゃねえ!」

そういって女性の体を投げ飛ばした。主人公はその女性が「男」であることは取り消さない

 

そして倒れている女性に続けて言った。

「肩幅が広いってんなら!てめぇも女として見られてぇんだったらな!中途半端なマネしてねぇで、そのでけぇ肩幅もきっちり女らしくなっちまえ!

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

  3、彼女もまた

 

 

こんな例え方をすると、「体の性と肩幅を同じにするなんて」 と思うかもしれません。

 

 

確かに「男性のものがある = 普通の女性ではない」

 

というイメージは世の中強いので「肩幅」と同じにするのは過剰に感じやすいかとは思います。

(それでなくとも「体の性による体力や筋力などの違い」という意味では同じにはならないでしょう)

 

 

しかし本来はそれぐらい

体の性で悩むトランスジェンダーにとっては「こんなことのせいで本来の性で見られないなんて・・」というものなのだと、個人的には思っています。

 

 

むしろ「体の性」は「肩幅」以上に 本人の努力でどうこうできない部分であり、しかしそこを理由に本来の性でいられなくなっているのです。

 

 

そして魅由鬼もまた、体の性によって 本来の性で扱われづらくなっている1人なのです。

 

 

 

 

 

私たちは彼女の体にあるもののイメージに引っ張られすぎているのかもしれません。

 

もし幽助がそれを掴んでそこに存在することを明かさなければ、私達は彼女のことを純粋に女性として見ていたはずです。