前回の記事で

 

『幽助は魅由鬼が弱いとわかっていながらわざと手加減しなかった』

 

と書きましたが、

 

 

どうして幽助は彼女に対して手加減しなかったのか

 

今回は、それを考察しました。

 

 

 

手加減しなかった本当の理由

 

 1、男だから?

 2、命の軽視

 3、本当の理由

 4、不遇の大きさ

 

 

  1、男だから?

 

 

前回書いたように、幽助が『本気を出さなくても十分に勝てる』魅由鬼を相手に

 

手加減なしに攻撃し続けた理由は何なのか

 

 

 

幽助自身はその理由について、「そいつが男だから」とだけ言っていますが、

 

 

よくよく考えると「男だから」というだけだと不自然です。

 

 

(もちろんそれも理由の一つではあるでしょうが)

その理屈だと幽助は、

 

作中の、自分に立ち向かってきた男性全てを 容赦無く痛めつけていることになりますが、もちろんそんなことはありません

 

 

ではその本当の理由は何なのでしょうか?

 

 

 

  2、命の軽視

 

 

まず最初に触れておきたいのは、

 

幽助は魅由鬼のことを、実は殺すつもりだったんじゃないか(正確には『死んでも構わない』と考えていた)ということです。

 

 

 

 

 

というのも

そもそもこの作品では基本的に 妖怪の命を軽視する傾向 が見られます。

 

四聖獣の迷宮城で出てきた養殖人間や、魔界の穴が広がった際に人間界に現れた妖怪達(↓画像)に代表されるように、

 

命を奪われるほどの罪とは思えない妖怪も、比較的簡単に殺されていたりしています。

 


幽助達に絡んだだけのこの妖怪2体も、この直後に粉々に殺されます↓

 

 

 

 

そして何より垂金邸外で現れた 12人の妖怪達 という、

(幽助達から見た時に)魅由鬼と同じような立場である彼らまでもが

 

(幽助達の前に立ちはだかったというだけで)特に何の罪も犯していないのに

(まるでゲームの中の敵キャラでも倒すかのように)簡単に殺されているのです。

 

 

 

 

 

このように、この作品の中で妖怪の命の軽視という風潮は比較的よく見られていますし、

 

この記事を読んでいる方の中にも同じように感じている方もいらっしゃるかもしれません。

 

 

 

そして三鬼衆たちを見ても

 

(隠魔鬼が受けた)ショットガンによる容赦のない攻撃や、

(獄門鬼が受けた)2人で霊気を込めた、壁が破壊されるほどの強力な蹴り、

 

 

そして魅由鬼に関しても

 

何mもの高さから叩き落とされたり、蹴り飛ばされた勢いで彼女がぶつかった壁が激しく破壊されるほど強くその顔を蹴り飛ばされるなど

 

 

現に死んでもおかしくないような あまりにきつい攻撃を彼らは受けています。

 

 

 

それらを踏まえると

 

今までは三鬼衆だけ生かされたと思っていましたが、実際には命まで奪おうとされなかったのではなく、たまたま助かっただけなのではないのでしょうか。

 

 

(耐える力のおかげで)たまたま死ぬまでに至らなかっただけに過ぎず、

 

彼女達もまた、そのきつい攻撃に耐えられずに死んでいてもなんらおかしくはなかった

 

 

 

魅由鬼も幽助にとってはその他大勢の命同類

 

幽助からすれば、もし自分の攻撃で彼女が死んでしまったとしても、それは特に気にするほどでもないこと

 

だったのかもしれません。

 

 

このように彼女もまた、他の妖怪達と同様 命を奪われていたかもしれなかったのです。

 

 

 

 

 

  3、本当の理由

 


ここからは、彼女が手加減されなかった真の理由について話していきます。

 

 

 

この時の状況を見ると

 

 

幽助は、外の妖怪達に対して

 

桑原がその妖怪達を倒す姿を見ながら

「負けてらんねーぜ!」

 

とテンションを上げながら、桑原と競うように彼らを倒しています。

 

 

 

 

その有り様はまるでゲームのようで、

 

自分よりずっと弱い命でさえ

自身の強さを誇示するためなら容赦無く奪っているのです。

 

 

 

 

 

そして魅由鬼に対しても

 

 

彼女への『確認』に成功するや、

 

「見切ったぜ!」と、

 

自分自身、相手より実力が上回っていることを感じながら

相手にもそれを見せつけることができた

 

という喜びを感じた様子で勝ち誇った顔を浮かべ

 

 

さらには

 

「勝ち目がねえのはわかったろ」と、

俺の方が強いことがよくわかっただろ」と言わんばかりの言葉を発し、

 

そうやって、相手を挑発してまで自分の強さをアピールするほどに

 

自分の強さに浮かれている様子を見せるのです。

 

 

 

この、『自分の強さを見せつけたい!』という様子からも

 

外の妖怪との戦いの中で抱いていた気持ちが 彼女との戦闘の場でも続いている

ことが見て取れます。

 

 

 

 

これらのことからも、幽助が彼女に対して手加減をしなかった本当の理由は、外の妖怪達にそうしたのと同じ理由、

 

つまり

 

自分の力を誇示したかったから

 

ではないでしょうか。

 

 

 

 

そう考えると幽助は、

 

彼女との間に明らかな実力差がありながら、弱い彼女のことを、己の力を誇示するために容赦無く痛めつけて、その命を奪おうとした

 

ということになります。

 

 

 

そして何よりひどいのが

それでもなお「女だったら手加減しようとした」と言っていることです。

 

 

 

 

  4、不遇の大きさ

 

 

 

相手と「手加減して戦う」時に、

 

果たして

その相手の命を奪おうとしたり、自分の力を誇示するための道具として利用する

 

なんてことがあるでしょうか?

 

 

 

”女性であればそのような戦い方をする”

 

ということはつまり、

 

彼女のことを女性と認識していれば

彼女を力を誇示するための道具になどしていなかった

 

ということであり、

 

 

それはつまり、

 

 

彼女が 他の妖怪たちと同様に力を誇示するための道具に利用されていたのは、

 

そんなひどい仕打ちを受けた理由でさえ

 

彼女が"男"だったから

 

とされている、ということです。

 

 

 

 

自分の命がおもちゃのように軽々しく扱われ、

自分が死んでもなんら問題ないとした扱いを受ける

 

というこの上ない酷い仕打ちでさえ

 

 

彼女が女性として認められなかったから、

もっと言えば 彼女に男性のものが付いているから

 

という彼女のことを最も苦しめる理由によるものだったのです。

 

 

 

 

 

 

彼女は 性別に関係なく このような扱いを受けたわけでもなく

 

”下についていた” とはいえ『普通の男性とは少し違う』と、

扱いを少しでも配慮されるわけでもなく((胸を狙うなどの)むしろそれ以上の嫌がらせまで受け)

 

 

 

 

完全な男』 として

その、有無を言わさない仕打ちを受けたのです。

 

 

 

 

 

彼女はそこまでして女性としての心を尊重されなかったのです。

 

 


 

 

もしも

 

彼女が女性としてこれだけの屈辱を受けながら

 

女性として尊重されないばかりか、その思いも理解されないまま(女性として屈辱を受けているという認識すらもしてもらえないまま)に、

 

 

男だと思われたままで

 

その限界を超えた痛みに耐えられずに 彼女が命を落とすことになっていたら・・

 

 

そして 命を落としてなお ただの変なオカマとして幽助達の中で存在させられていたとしたら

 

彼女はあまりに浮かばれません

 

 

彼女は、そのいたいけな命でさえも 下に男性のものが残っていることで 粗末に扱っていいものとされたのです。

 

 

 

彼女が、下にあったというだけの理由で受けた不遇は

 

ここまで大きなものだったのです。