もし魅由鬼が仲間想いだったら 4/5
4、魅由鬼だって本当は・・
そうこうしていると幽助が戦う姿勢を見せたことで
なんとか彼女の「覚悟」は保たれた。
魅由鬼には幽助がせめてもの「まともな人間」に思えたのです。
そうして魅由鬼は、幽助との戦いに挑むのです。
しかしそうは言っても魅由鬼だって本当は女の子です。
本音を言えば幽助と戦うなんて怖かったかもしれません。
しかし
部下が、仲間が勇敢に立ち向かい、そして殺されたのです。ならば自分も戦わなければいけません。
たとえ自分の身がどうなろうと関係ありません。
どんなに相手が危険であっても彼らより上の立場である自分が、自分だけが逃げることなど許されないのです。
そうして仲間の無念を晴らすためにも戦うことを決心した魅由鬼は、
決心した以上は自分の弱い気持ちなど決して見せず、自分が女だからという甘えさえ捨てて戦いに挑むのです。
しかしそんな、魅由鬼にとっての大きな覚悟さえ、一度は桑原に汚されます。
しかしながらもそれは、幽助の言葉で再び保たれます。
「女相手でも区別なく戦う」と言ってくれたその言葉は、
魅由鬼には自分の覚悟を拾ってくれたと見え、彼女にとって幽助の言葉はせめてもの救いだったのかもしれません。
もしそうだったとしたら
そんな魅由鬼が、
一度はその覚悟を汚されながらも幽助がそれを拾ってくれたことで再びその覚悟を取り戻し、その恩に応えようと幽助に立ち向かった魅由鬼が、
本当はその内側に乙女の心を抱きながらも、今はその心を捨てて、そこまでしてまで決死の覚悟で戦いに身を投じることを決めた魅由鬼が、
その大切な体を、そのせめてもの救いをくれたはずの幽助の手で突然遠慮なくまさぐられる恥辱にあっていたなんて。
その上、そんな、彼女の覚悟や想いを踏みにじり、女性としてのプライドまで傷付けた、到底許し難い敵を相手にしながらも、
仲間の無念に何一つ返すこともできないばかりか、
女性としての自分の思いさえも
何一つ届くことも叶わずにただただ一方的に痛めつけられていたんだとすれば・・。
彼女が幽助から受けた仕打ちは、彼女にとってはもしかしたら私達が考えている以上に過酷なものだったのかもしれません。