もし魅由鬼が仲間想いだったら 3/5

 

 

  3、侮辱と屈辱

 

女ぁ!?冗談じゃねえよ、女相手に喧嘩なんかできっかよ!おおい浦飯、行こうぜー。

 

それを聞いた魅由鬼の手に再び力が込もる。

 

 

「優しいのね。でもそれは差別だわ!そっちが来なくても、死ぬまで容赦しない!

魅由鬼の押さえた怒りはそれでも語気の強さに表れた。

 

それは殺された部下を思っての怒りだった。

 

 

 

私の大切な仲間をあれだけ容赦無く殺しておいて!よくも女相手には戦えないなんて、そんな甘いことが言えたわね!

 

 

あなたたちは私の仲間を容赦なく手にかけた憎い仇よ。

けどその強さや恐ろしさは本物!

そう思ったから私は私なりに覚悟してあなたたちの前に姿を現した。

 

 

なのに・・。

 

 

それなのにこの男は

「俺は女には手は出さない」なんて格好付けて私の覚悟を馬鹿にして・・!

 

 

 

 

自分の覚悟や仲間を侮辱する態度に魅由鬼は強い怒りを隠せなかった。

 

 

「(女だから手を出さないなんて)優しいのね、でも(じゃあなんで私の仲間(男)は容赦なく殺したの?)それは差別だわ!」

 

 

「そっちが来なくても、死ぬまで容赦しない(仲間と同じ目に遭ってもらうから)!」

 

 

魅由鬼は暗にその感情を、その言葉の中に籠めた。

 

 

 

 

そしてこの言葉において

 

「女だから手を出さないなんて差別だわ」

と相手の考えを否定しながらも

魅由鬼は

 

「私が女でも気にせず攻撃してきてもいいわよ」

という言い方は決してしない。

 

 

 

 

また、こんな扱いを受けた魅由鬼がそれでも

「実は自分は男だ」とは言わないのは

あくまで「女」として正々堂々とした戦いを求める故か

 

それとも

 

こんな甘い考えの男に自分の仲間が殺されていたことへの怒り故か。

 

 

 

なんにせよ魅由鬼の二人への憎しみの大きさが、そこには表れていた。