実は戦闘員ですらなかった?
1、実は「プロ」でもない?
2、実際の強さは?
1、実は「プロ」でもない?
彼女は本当に、そんな強い妖怪として登場していたでしょうか?
私自身この辺りに関しては元々なんとなく違和感を抱いていましたが、
改めてよく見てみると
実はそこには意外な思い込みがあったような気がしますので、詳しく話していきます。
・思い込み
彼女は確かに妖怪であり、
「戸愚呂妖怪集団に所属するエリート精鋭」
と紹介されています。
この作品では妖怪は普通の人間より強いものとされていますし
「戸愚呂妖怪集団のエリート精鋭」というワードのイメージや、
「幽助達に戦うべき相手として立はだかる敵」という位置付けもあり、
魅由鬼(三鬼衆)は強敵
というイメージを持ってもおかしくはありません。
しかしよくよく見ると、
彼女達が戦闘のプロ集団であることも、選りすぐりの強さを持っていることも
それを示すものは、実はどこにも出てこないのです。
・垂金の期待
というのもまず、
そもそも彼女ら「妖怪集団」が垂金から雇われた目的は、
究極的には「雪菜を泣かして氷泪石を出させること」です。
戸愚呂達は「化け物の扱いには慣れている」その道のプロとは言われていますが
「化け物の扱いに慣れているから強い」とは限りませんし、少なくとも雪菜は戦闘タイプでありません。
そもそも彼らの普段の仕事は
魔物の売買を生業とする、と紹介されており
詳しい内容こそ不明ですが少なくとも戦闘業務がメインの仕事ではなさそうな仕事です。
その中で魅由鬼が精鋭だと言われても「だから戦闘力が高い」ということにもならないでしょう。
確かに彼ら「戸愚呂妖怪集団」の中でも戸愚呂兄弟に関しては突出した強さをもっていますが
彼らが強い理由も仕事とは関係ないところにあることも、その後のエピソードを見ていけば明らかです。
であるなら、
「雪菜を泣かせることに苦心してそのために雇われた」彼らが戦闘に強いとは考えにくいのです。
現に雪菜を泣かすことに成功した戸愚呂を見て垂金は「高い金で雇っただけのことはある」と歓喜しており、
そのことからも彼らに「戦闘の面」で期待している訳ではないことが見て取れます。
それに幽助達の侵入を知った時も垂金はその始末を最初、戸愚呂達には頼みませんでした。
元々は自分の部下に始末を命じており、
それに対して戸愚呂が「我々の部下にお任せ願いましょう」と言ったことで戸愚呂妖怪集団が幽助達に立ち向かうことになったに過ぎません。
・戸愚呂の評価
しかもこの戸愚呂の提案も、一見すると「我々は戦闘にも長けている」という意味にも聞こえますが
実際には戸愚呂は部下達を「強い者」としては紹介していません。
というのも戸愚呂は「侵入者は朱雀らを倒した只者でない少年なので外の連中には荷が重い」という説明を、恐らくこのタイミングでしています。
なぜそう言えるかというと、
↓画像を見てもらうとわかりますが、この両シーンでの背景や戸愚呂の様子は実はほぼ同じなのです。
「侵入者討伐」を買って出るシーン
「侵入者が強い」ことについて説明しているシーン
これらのことから戸愚呂は、侵入者討伐を買って出たタイミングで侵入者が強いことも話していると考えられます。
まあ、それを聞いた垂金がなぜ戸愚呂の提案を受け入れたのかはよくわからないシーンではありますが、
とにもかくにも戸愚呂妖怪集団が強いとは言っていないのです。
しかしこれに関しては、
戸愚呂が「荷が重い」と言ったのは「外の連中」であって「中」にいる三鬼衆ではないようにも思えます。
しかし前回の記事でも話した通り、垂金は魅由鬼たち三鬼衆も負けると思っていますので、
そのことからも戸愚呂が「荷が重い」と説明した対象にはおそらく三鬼衆も含まれていたのではないかと考えられます。
確かに他の2人の戦い方を見ても
隠魔鬼は姿を隠して素早い動きを見せながらも
妖気は隠せず
幽助のショットガンを避ける反射神経がないどころか
曲がり角に隠れて敵が見えなくなっているのにそれに警戒すらせずに突っ込んでやられた訳ですし
獄門鬼は
ぼたんを盾に取りながらそのぼたんが手を上げただけで簡単に抜けられるほどの甘い捉え方しかしていなかったのです。
果たしてこれが「戦闘のプロ集団の精鋭」の戦い方といえるでしょうか?
これらのことからも魅由鬼は実は
戦闘のプロですらない、ただの一妖怪に過ぎなかった
と言えるのです。
つまり彼女は妖怪として生まれたというだけであり
彼女自身は何も悪いこともしておらず、かつ戦闘のプロでもない中、
ただ上からの指示に従って戦っていただけにすぎないのです。
2、実際の強さは?
そんなこと言ってしまうと
バトル漫画でそんなことある?という声が出るかもしれませんので
一応彼女の強さについて少し触れておきます。
彼女ら三鬼衆は、一応はぼたんからは
「外の妖怪とは比べ物にならないぐらい強い妖気」
という評価を受けています。
では実際、彼女はどれほどの実力があったのでしょう。
魅由鬼は何メートルもある高さの天井まで届く高いジャンプ力や、
自身の毛髪から鞭のような物を生み出したり、その鞭を相手の首に巻きつけるコントロール力、
幽助の体を、首を絞めた鞭で持ち上げる腕力を見せるなど、
並外れた基礎体力が備わっています。
そして特に目立つものは、その耐久性です。
強く胸を殴られたり天井が割れる程の強い力で踏みつけられたり、
何メートルもの高さから落ちて地面に体を叩きつけられたり
顔を蹴られた衝撃でかなり分厚い壁に大きな穴を開けるほどの凄まじい力でその頭を突っ込んだり。
そしてその体を投げ飛ばされて壁にヒビが入るほど激しく頭を強打するなど、
そのどれを取っても常人であれば命を落としてもおかしくないほどの攻撃を受けながら
彼女は意識を失うことすらなく耐えています。
同じ三鬼衆でも他の2人のように、霊力を込めた攻撃を受けた訳ではないので比較にならないかもしれませんが、
他の2人は幽助達に一撃くらっただけで気を失っているのを見ても、魅由鬼の耐久力はかなり強いものといえるでしょう。
このように、確かに高い身体能力を、彼女は持っています。
しかしそれだけの能力を持ちながら
体術に関しては幽助に指一本触れることすらできていないほどに一方的にやられており、幽助との戦闘技術の差は歴然としたものでした。
これらのことからも、いかに彼女に実戦経験がないかが見えてきます。
つまりぼたんのいう「比べものにならないぐらいの強い妖気」の正体はその高い身体能力故だったのでしょうか。
それとも、「外の妖怪」が比べ物にならないぐらい弱かったのか・・。
なんにしてもやはり仕事上、普段から戦闘をしている訳ではないので、実戦的な力の使い方などわかっておらず、
実戦経験豊富な幽助の敵ではなかったということです。
↑漫画版でも格闘技的実力差がかなりあるとその歴然とした差を強調される魅由鬼