忘れていた「異人たちとの夏」というDVDが出てきた。

少し前にNHKの『老害の人』という夜のドラマに出ていた風間杜夫の主演の映画だ。

 

男は、小学生の頃、トラックに轢かれて亡くなった両親に久しぶりに会う。

男は、最後の親孝行で両親にすき焼きをご馳走するのだが、

「思っていたより、残り時間がなかったようだ」

と両親は言いながら、姿が透け、あの世に戻っていった。

男は、泣きじゃくりながら、「ありがとう」を繰り返した。

その後、ほとんど箸を付けていないすき焼きを見て、

「ちっとも食べてないじゃないか」

「ちっとも食べてないじゃないか」

と言うシーンがあります。

 

ビートたけしが、母親から金をせびられて、何百万かずつ渡していく。

あのクソババア、いいもん食って、好きなことしてるだろうなあ、と思っていた。

しかし、とうとう最期かというベッドで、母親から渡された物は、さんざせびられて渡していた金がそのまま積み立てられていた通帳だった。

その時も、きっとビートたけしは、同じような思いを持ったのだろうなあ、と思い出した。

 

『日日是好日』という映画で、主人公の女性が、余り気に留めていなかった死んだ父親の思いに気が付いた。夕日を背にして波打ち際に立っている父親の幻影を見た時、「お父さん、ありがとう」と何度か叫ぶ。

 

とりとめもなく思い出した。