NHKBS1でやっている辞書作りのドラマである。
辞書は言葉の海を渡るための舟という設定で、
「舟を編む」とは、辞書を作るという意味である。
デジタルの辞書にない楽しさの一つに、
調べたい言葉の近くの言葉に目が行くことがある。
中学時代、四字熟語の学習の際、知ったこと。
画竜点睛(がりょうてんせい)の睛は、瞳を表す字で、晴ではない。
その横に、迦陵頻伽
(かりょうびんが、 迦陵頻迦 、 迦陵嚬伽:
上半身が人で、下半身が 鳥 の 仏教 における想像上の生物)
がある。
これを中学生の時に知って、以来そのまま過ぎたのだが、
テレビで一度だけ、迦陵頻伽が登場したことがある。
言葉に接する頻度というのはその程度のものもあるが、知っていれば、
「ああ、迦陵頻伽ね。それが?」
などと気取っていられるのである。
ただ、「大漢和辞典」の漢字が、清の康熙帝の編ませた「康煕字典」によるのは、頂けないのですが、辞書作りの途方もない大変さを知ると、昔のように、
「あ、大漢和ね。それが?」
と思えなくなってしまった。
それにしても、主人公の岸辺緑さんの服が毎回素晴らしいのは、必見だな。
岸辺緑という名前は、太宰治の黄金風景の冒頭の詩からだろうか?
海の岸辺に緑なす樫の木、その樫の木に黄金の細き鎖のむすばれて
―プウシキン―
知らなかったなあ。
私は、岸部シロー、岸部一徳、岸田今日子、岸田森、…と岸伝いに船を漕ぐのだ。