6月の歌舞伎座は、初代萬壽、六代目時蔵、五代目梅枝と、親子三代の襲名披露公演。夜には獅童の2人の子息の初舞台、とお目出度い。
紅色の祝い幕は千住博氏の手になるもの。スマホの電源を早めに落としてしまい、撮影に失敗~
https://natalie.mu/stage/news/575267

「上州土産百両首」初めて見る芝居、生々しい外題だ。
幼馴染だがドジな牙次郎(菊之助)としっかり者の正太郎(獅童)。盗人稼業から足を洗い、堅気になって10年後に再び聖天様の前で会おう、と約束して別れる。
正太郎は田舎の宿で板前として働き、将来、牙次郎に与えようと金を貯めるが、そこに昔の仲間が現れて強請盗られてしまう。結局宿を出奔、凶状持ちに堕ちてしまう。

牙次郎はうだつが上がらず、岡っ引きの下働きのまま。しかし百両の賞金が掛った悪人が江戸に入る、と聞いて、自分が捕えたいと願掛けをする。

10年後、正太郎は自分にかけられた賞金を与えようと牙次郎の前に姿を現す。牙次郎は凶状持ちが正次郎と知って、自分が捕縛するのでなく、自首させるように上司に頼み、二人で「あの世までも道連れだ。」と言いながら歩きだす。


「時鳥花有里」
セリで上がって来た義経(又五郎)と鷲尾三郎(染五郎)、頼朝の不興を買い、都落ちの途中だ。
色違いの衣装の白拍子(児太郎、米吉、左近)と格上の白拍子(孝太郎)に人形遣い(種之助)が加わって舞台は華やかに。
種之助の、義経、静御前、知盛の三種の面を早変わりで使い分ける舞踊が軽妙で、笑いと拍手を誘う。
やがて白拍子たちは天女のような衣装に代わり、大和へ向かうように義経主従に告げる。
三人並びの中で児太郎の貫禄が際立つ。梅枝の襲名となれば、彼がこの名前のままというのは釣り合わないよなあ。


「妹背山婦女庭訓」此方の日記によれば、6年前の6月に歌舞伎座で新・萬寿のお三輪を見ている。
新・時蔵のお三輪は先代より更に哀れが増して、悪官女たちのパワハラが胸糞悪いったらない。恋に破れた上に命まで捧げるなんて、本当に可哀想。
豆腐買いのおむら(仁左衛門)が劇中で、時蔵と梅枝の襲名を紹介、大きな拍手が湧く。