神棚に「ほうらい」 | 羽黒神社宮司のブログ

神棚に「ほうらい」

石川県でも能登地区にかぎり、神棚の下に「ほうらい」という紙を貼り、毎年年末にこれを取り替えて新年を迎えるという風習があります。

半紙や奉書に「福寿」や「繁栄」などのおめでたい語を墨書きしたもので、
「蓬莱」または「宝来」「鳳来」などの漢字があてられます。
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漁師さんの家なんかでは「大漁」、商家さんなどはやっぱり「商売繁盛」や「おかげさま」なんてのもよく見かけます。
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「寿」などの文字や「恵比寿大黒」「宝船」などの切り絵のものも多いです。
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もともとはお米のとれない地域では、しめ縄を縫うための稲藁が手に入らず、代わりに紙で結界を作ったことが始まりだといわれています。


「ほうらい」という語そのものは高野山で、やはりしめ縄の代わりに作っていた「宝来」だと言われています。
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山陰地方や高千穂などで盛んに行なわれている「夜神楽(よかぐら)」の際に部屋に切り絵を廻らして結界とするものがよく見うけられますが、これもルーツはほぼ同じと考えられています。
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おそらくは高野山、高千穂、出雲や石見といったところの風習が海路で伝わったのでしょう。
(東北の一部にも同じような切り絵を飾る風習があるそうです)


余談ですが、一番上と二番目の画像は「福寿」の字が西洋風の横書きになって逆になっています。

本来日本語に「横書き」というものはありえません。
これは「一字づつの縦書き」ですから、当然向かって右から「福→寿」と書くべきであります。
そうしないと、落款(らっかん)が字の先に来ることになりますしね。
落款は書いた者を示す判ですから、字を書きあげた最後に押すものです。
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これが正しい書き方o(^-^)o


で、
今日は新築のお宅に新しく神棚をお祀りするお祓いをご奉仕したのですが、

事前に電話で、「宮司さん、ほうらい紙書いて持って来てくれんけ?」
というご依頼があったのです。

年末ですと、珠洲のスーパーやホームセンターではどこでも売っているのですが、さすがにこの時期はありません。

さて困った・・・ヽ(;´ω`)ノ

先日のブログ記事の「がんばろう日本」の垂れ幕で、方々でボロカス言われたばっかりじゃありませんか・・・(T▽T;)

でも、まあしゃあない・・・
ウチの神棚と同じ、「敬神」を書いてさしあげしました。
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(落款は立派なんですけどね。(´д`lll) )


いくらうんちくを並べても、字がうまくなるわけではありませんo(TωT )
(でも、ホントは書道1級なんですけどね~取ったの小学校の時だけど・・・(-"-;A)