1994
陽が沈みきったら
セーヌ川沿いは、一段と寒さが厳しくなってきた
シャンゼリゼ通りを散策しながら凱旋門に辿り着く
そして、ここからメトロに乗りエッフェル塔へ
夜の街ピガールにも行った
フレンチカンカンで有名なムーラン・ルージュもこの近辺にある
この辺は場所柄、他の地区のキヨスクよりエロ本が豊富な品揃え
もちろん無修正
……感動した( ̄ー ̄)
キョロキョロしながら歩いていると連続して犬の糞を踏み
スべってコケそうになる、くそっ!
とりあえず3冊一パックのお徳用エロ本を買った
早く中身が見たいっ!
そわそわしながら早足でメトロへ向かっていると、また犬の糞を踏んでズッコケる
ちくしょーっ!死ねっ!インモラル飼い主とスカトロ犬!
歩道の段差で糞をそぎ落とし、また早足
そのとき「HOME VIDEO」とチカチカ輝く看板が眼に入る…
「なんで、こんなところ(ピガール)にホームビデオなんか……」と思って看板をもう一度よく見ると
「HOMO VIDEO」だった…
1本10F(10フラン)
店員らしき黒人と目が合い
「ホモ?」と指差される
ピガールからメトロに乗って宿へ帰ると、すぐにビニールでグルグル巻きにされたエロ本を
「あ~れ~!」とばかりに脱がせていく
気分はエロ代官
ハアハア
興奮しながら手に取った本のタイトルは
Backdoor Lovers
中身を見る……
……ほほう
……
……なるほど
バックドアとは……
……そういうことか
よく考えたな……
妙に感心してしまった
タイトル通り
恋人たちが
正門からではなく
後門から
出たり
入ったりの
愛の物語
うーん、おれの趣味じゃないけど……と思いつつ
部屋のカーテンを閉める
パリの夜は更けていく……