生徒たちがこんな会話をしています。
A 「ねえ、今日は三年生が体育館割り当てになっているから、昼休み、体育館に行こうよ」
B 「わかった。ちょっと図書室に寄ってから体育館に行くね」
それからこんなシーン。
A 「あ、どこかに筆入れ忘れてきた」
B 「技術室じゃない?」
さらにこんなシーン。
A 「うちのお父さん、盲腸で手術するんだ」
B 「心配だね」
こんなシーンも。
A 「多目的ホール集合は何分までだっけ?」
B 「一時二十分だよ」
いま、4つの場面を掲載しました。さて、確認してみましょう。わかってはいても
「体育館→(タイクカン)」
「技術室→(ギジツシツ)」
「手術→ (シジツ)」
「二十分→(ニジュップン)」
こうした単語については、会話の中ではもはや正しい発音をすることを相互に免除し合っている感があります。
「図書室に寄ってからタイイクカンに行くね」
と正しく発音すると、逆に「ぎくしゃく感」が強調されてしまいがちです。
「旅客機」という単語は、正しくは「リョキャクキ」であるはずです。「客」は「キャク」と読むわけですから。でも、どのくらい前からか「リョカクキ」と呼んでも(発音しても)良いことになってしまいました。多く人が「リョキャクキ」と発音しにくくて「リョカクキ」と発音するようになったための措置です。
同様に、本来、「洗濯機」は「センタクキ」であるはずですが、「センタッキ」でも良いことになってしまいました。
私は、
『この傾向はあまりよろしくないなあ』
と思っています。でも、言葉というのは正しいか正しくないかではなく、多数決的変容を遂げていくもののようです。
いつか、国語のテストの漢字の読みの解答が、
「明日の授業は、ギジツがビジツに変更です。タイクはタイクカンでします。一時サンジュップンまでには集合してください。ガチです」
となるかもしれません。困ったものです。