金塊と砂金って、違うよね? | はぐれ国語教師純情派~その華麗なる毎日~

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国語教師は生徒に国語を教えるだけではいけない。教えた国語が通用する社会づくりをしなければ無責任。そう考える「はぐれ国語教師純情派」の私は、今日もおかしな日本語に立ち向かうのだ。

 みなさんは、『ゴールデンカムイ』というマンガを知っていますか? テレビでもアニメが放送されましたし、レンタルショップではコミックが「ロングラン」のコーナーに置かれてあります。さらには昨年、実写化にもなりましたから、人気作品なのではないかと思っています。内容は、日露戦争終結後、元陸軍兵の杉本佐一が、アイヌの秘蔵金塊を求めて奮闘する大冒険バトルとでも言ったらいいでしょう。

 私はコミックの全巻を読んで、最後にちょっと力が抜けました。主人公の杉本がアイヌの金塊を探すことでストーリーが展開していきます。最後にはとうとうそれを手に入れるわけですが、私はそこがちょっと気に入りません。

 「金塊」とは読んで字のごとく「金の塊(かたまり)」であるはずです。最後に手に入れたのは金塊ではなく、大量の「砂金」だったのです。「砂金」というのは砂状に細粒化した自然金です。「金塊」は金を鋳型に流し込んで塊にしたものですから、物質的には同じでも形状的には全く違ったものです。それなに、この作品ではその違いが全く問題にされていないのです。杉本は金塊を手にしたつもりでいます。作者はもちろんのこと、出版社や編集者さえもそのまま通過してしまっています。言葉の理解としては誤っていると指摘せざるを得ません。どうなんでしょう?