この表現、やめない? | はぐれ国語教師純情派~その華麗なる毎日~

はぐれ国語教師純情派~その華麗なる毎日~

国語教師は生徒に国語を教えるだけではいけない。教えた国語が通用する社会づくりをしなければ無責任。そう考える「はぐれ国語教師純情派」の私は、今日もおかしな日本語に立ち向かうのだ。

 お昼のテレビを見ていました。グルメ特集の番組でです。出演者の言葉がちょっと気になりました。普通に使われている表現なのですが、

 

「う~ん、おかしいなあ」

「聞いていて、ちょっとひっかかるなあ」

 

と感じることってありませんか? 私、とってもそういうこと、多いんです。ちょっと紹介します。

 

<ケース1>「味は美味しい」

 

A 「イカ墨スパゲッティ? 本当においしいの?」

B 「美味しいよ! 騙されたと思って食べてごらん」

A 「あ、ホントだ! 美味しい」

B 「ね? 見た目は毒々しいかもしれないけど、味は美味しいでしょう?」

A 「うん。味は美味しい!!」

 

 いかがですか? 

 

「味は美味しい」

 

とか

 

「味が美味しい」

 

はおかしいでしょう? 「美味しい味」ならちょっといいのかな? それから、

 

A 「味はどうなの?」

B 「美味しいよ」

 

という会話での分けた使用ならいいですけどね。あとは、「良い味だな」とか「いい味してる」ならいいんじゃないかと思います。

 

<ケース2>「食事を食べる」

 

「食事を食べる」

 

 これはおかしいと思います。食事とは「食べること」ですよね。食事を食べるがおかしいのは、

 

「食べることを食べる」

 

になるからです。

 

「食事をする」

 

が正しく、若干ごまかすのであれば、

 

「食事を摂る」

 

がいいでしょう。その意味では、本来なら

 

「夕食を食べる」

 

も同様におかしいのですが、「食事を食べる」ほどには違和感がないような気がします。夕食とは夕に摂る食事のことなので、そのまま直すと、

 

「夕に摂る食事を食べる」

 

というとてもおかしな文章になってしまいます。こうした言い回しは、テレビの「食レポ」なんかでやたら使われているのですが、耳にするたび実にうんざりしてしまいます。みなさんはどうですか? 平気ですか?