言葉には正確さが求められる!! | はぐれ国語教師純情派~その華麗なる毎日~

はぐれ国語教師純情派~その華麗なる毎日~

国語教師は生徒に国語を教えるだけではいけない。教えた国語が通用する社会づくりをしなければ無責任。そう考える「はぐれ国語教師純情派」の私は、今日もおかしな日本語に立ち向かうのだ。

 先日、県内最大規模の総合病院に行きました。入院している家族に荷物を届けるためです。でも、コロナ禍来、外来は緩和されましたが、病棟への出入りはそう簡単ではありません。「検問所」のようなところがいくつか設置してあって、そこでいろいろな質問に答えたり、カードに記入したりしなければならないのです。

 つい立て看板に、次のような案内が記載されてありました。

 

 13時~17時までの荷物預かり等はこちらで対応(受付)いたします。面会者カードを御記入の上、お待ちください。

 

『へ~、面会はしないで荷物を渡すだけなのに、「面会者カード」を書かなければならないのかあ? なんだか変だなあ』

 

 脇のボックスにカードが入っていたので、1枚を手に取って、さっそく記入しようとしたのです。でも、そのカードには「来院者受付カード」と印字されてあります。

 

『これじゃないな。「面会者カード」はどこに置いてあるんだろう?』

 

 でも、あたりを見渡しても、それ以外のカードは見つかりません。忙しそうにしている案内係の方の手の空くのをしばらく待って尋ねました。

 

私「すみません。『面会者カード』がどこにあるかわからなくて……」

係「え? あ、どうぞ」

 

 係の方は、さも当然そうに先ほどの「来院者受付カード」をボックスから1枚取って、私に差し出してきました。はあ……、まあ、すべてはコロナのせいなのでしょう。

 私は生徒たちに、正確で美しく豊かな日本語を身に着けてもらおうと思っています。でも、もしかしたら世の中は、場合によってはもっと不正確でおおざっぱな言葉の感覚を持った人の方が生きやすいのかもしれません。

 早速、私は国語教師の使命感のもとに、この大病院の言語環境を正そうと1人立ち向かったのでありました。