「あ、ホントですか?」 | はぐれ国語教師純情派~その華麗なる毎日~

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国語教師は生徒に国語を教えるだけではいけない。教えた国語が通用する社会づくりをしなければ無責任。そう考える「はぐれ国語教師純情派」の私は、今日もおかしな日本語に立ち向かうのだ。

 ある日、テレビを見ていたら反戦・反核の運動に青春を捧げる21歳の青年にスポットを当てた番組が放送されていました。

 

『若いのにしっかりとした考えを持った素晴らしい青年だなあ』

 

と、私は感心しながらその番組を見ていたのです。ところが……

 

通行人「〇〇さん、この前、テレビ出てたね。見てたよ~」

青年 「あ、ホントですかあ~」

 

 この瞬間、私は一気にしらけてしまいました。もう、この青年のことを感心していた自分が、遠い昔の見ず知らずの誰かのことのように思えてしまいました。

 「本当ですか?」という表現は、驚きを伴って、すぐには信じられないようなことを確認するする際に用いる言葉だと思うのです。ところが、昨今の若者は、実に軽々しくこの「本当ですか?」を使います。しかも、

 

「本当ですか?」

 

というよりも、むしろ

 

「ホントですか?」

 

です。軽薄この上ありません。それほど重要でないことの確認を行う場合には、「本当ですか?」ではなく、

 

「そうですか?」

 

で十分です。

 

 子どものときにヒットしたダ・カーポの「結婚するって本当ですか」という曲の歌詞には、どうにも信じられないという思いが溢れに溢れていました。