「ランチタイムの説明書き」 | はぐれ国語教師純情派~その華麗なる毎日~

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国語教師は生徒に国語を教えるだけではいけない。教えた国語が通用する社会づくりをしなければ無責任。そう考える「はぐれ国語教師純情派」の私は、今日もおかしな日本語に立ち向かうのだ。

 先日、リーズナブルだと聞いた近所の中華料理店に昼食をしに行きました。カウンターの席に座ると、テーブルに次のような表示がしてあります。

 

  ランチタイムの説明

    お一人様700円以上ご注文で、惣菜、ライス、スープ、杏仁豆腐などの、カウンター

   料理を無料サービス!!食べ過ぎちゃうと、メインが美味しくたべれなくなるので、食べ

   過ぎに注意!!

    カウンター料理は、随時補充はしていますが、なくなり次第終了の場合もございます。

   ご了承ください。

    ランチタイムは基本持ち帰りは出来ませんので、食べ残しないようご注意ください。カ

   ウンター料理の持ち帰りは出来ません

 

 う~ん……、面白いと言えば面白いのですが、ここは国語の題材にさせてもらうとしましょう。

 1.「まず、お客さんを相手に「食べすぎちゃうと~」の「~ちゃうと」はくだけすぎなよう

  な気がします。親しみを表現しようとしているんでしょうけどね。また、「食べすぎちゃう

  と~食べすぎに注意」はしつこいです。ここは、後の方の「食べすぎに」をとって、

  「食べすぎてしまうとメインが美味しく食べられなくなるので、ご注意ください」

  がいいのではないかと思います。なお、「たべれなくなるので」は、ここだけ平仮名になっ

  てしまうのは不統一ですし、「ら抜き言葉」の使用になっています。飲食店さんなのですか

  ら、「食」にこだわっていただきたいものです。

 2.「惣菜?」 スーパーじゃなく中華料理店での話ですよね? 「料理」でいいと思うんで

  すよね。

 3.「杏仁豆腐などの、」の「、」は普通つけませんね。 よほど何かを意図的に強調したい

  ような場合は付けなくもありませんが、ここは読む限り不必要だと思います。

 4.ここの「基本」の使い方、いけませんなあ。親しい関係における会話の中での使用なら許

  されると思いますが、ここは、「ランチタイムには、基本的に持ち帰りはできませんので

  ~」ともう少し正確な日本語を用いて表記するべきだと思います。また、その後、再び、

  「カウンター料理の持ち帰りはできません」と繰り返されていますが、これだと、

   『あれ、これって最初に行ったことと同じことなの? 違うことなの? カウンター料理

   以外なら、持ち帰りはできるということなの? ランチタイムでなければいいの?』

  と混乱してしまうのではないでしょうか?

 5.「食べ残しないように」? う~ん、これって、「食べ残さないように」か「食べ残しの

  ないように」かのどちらかにすべきですね。

 全体を通して、三つのことを思いました。

 1.説明が難しくて、お客さんの食欲がなくなってしまわないかな?

 2.「注文の多い料理店」って、こういうのを言うのかな?

 3.文章や言葉って、人柄を表しますね。これを書いた方って、どういう方だと思いますか?