2年前の夏に福井のアララギの短歌結社を知り、連絡をとり、近藤篤様のご子息より連絡をいただき、歌集「荒島岳」をネットで送っていただいて、その後、私が胃癌になったり、心臓を患ったりで、何もせずに2年近くが過ぎてしまい、大変申し訳なく思っておりましたが、以前に、荒島岳と白山の歌などを取り出していたように思うのですが、改めて、昨夜歌集より以下の荒島岳の歌をいただきました。

 

荒島岳の短歌は、近藤篤著「歌集 荒島岳」より、以下の歌をいただきました。

<荒島岳の歌>

昇り来て片照らす明暗の荒島岳をあかむらさきに      p30

ひと群れの鉾杉の上白妙の荒島岳は天に裾引く       p31 

朝光に浮かび出でたる荒島はほの明かりつ稜線長し     p34

朝茜褪せつつ雪の荒島はおぼおぼと白し東の空に      p38

荒島は雲の奥に寂びさびと雪を被きし稜線をひく      p46

目交差ひに雪の荒島岳峻立す左肩下に小荒島添えて     p86

落日の雪の壁光る突兀の嶺は荒島岳の奥          p90 

一枚の大岩建てるごとし雪の荒島岳北に裾ひく       p91

春の日の遍(あまね)き空に雲つみて神のごとしも荒島岳は p100

屏風を立てたるごとき荒島岳夕日にてりて雪かがやかす   p111 

 

以上10首、探し求めた荒島岳の歌です。

2年前に近藤様から歌集をメールでいただきながら、今日に遅れたことをお詫びいたします。 

 

白山の歌も12首あって、それは白山で紹介させていただきます。

近藤短歌

雪靄の空のあなたに白妙の越の白山浮き上がりみゆ p20

まれまれに晴れたる空や連なれる越の白山光る見ゆ

元朝の朝の光りを背に負いて越の白山ひょうに光る

                 (*うすい藍色)

岳樺林の深雪踏み上り仰ぐ越の白山

青霞む遠山の上に白山は浮き上がり見ゆ煌めきて

黄葉のせる峠の橅を透かし見る初冠雪の白山の嶺

白雲に紛れて今朝はおぼろなり越の白山春空に浮く

白山あたご坂登りついれば目交に越の白山連なり光る

坂の上の木立を空けて白山は白りんりんと連なりて輝る p91

木曽駒は夕茜して漂える雲に浮かべりふりさけ見れば

ここぞより行く尾根超えて攀じむとす六本槍に仰ぐ峻嶺

おやまそば濡れつつ白く咲く嶺に稜骨あらき穂高を仰ぐ

見上げつつ昇り来し剣が峰を下に俯瞰し急坂を攀ず

 

近藤篤氏は明治43年の生まれで、私の父と同い歳かと思います。

元旦に妻ゆきて八年過ぎこもりつつ読む西行の歌  近藤篤 22

 

やはり母が六十八で亡くなり、父は当時七十四でしたか、八十の誕生日を前に昭和天皇に殉死するように亡くなりましたが、「西行の歌」の「こもりつつ」の心境が分かる気がします。私も父の歳に来月なります。父の歳を超えて、短歌を詠むことを支えとして今少し浮世にいたいとは思いますが、どうなるんでしょうね。