中国はサンフランシスコ講和条約11条で東京裁判を認めたのだから、日本は彼らの罪を認め、靖国神社に合祀することを止めろと主張している。

しかし日本はこの11条で彼らが既に免責されていることを、もっと主張すべきである。

その第2項には、その裁判を行った国の過半数の同意を得た場合は赦免できることになっている。

日本はこの条項を受け、国会で何回も戦犯の免責を決議し、関係各国に働きかけ、A級戦犯は1956年3月末までに、B・C級戦犯は1958年5月末までに全員赦免、釈放を勝ち取ったのである。

更にこの釈放により、刑死した方の遺族にも恩給が支給されることになったのである。

下記に昭和27年12月9日と昭和28年8月3日付けの衆議院本会議の決議を示す。

(資料提供 空花正人) 特に昭和28年8月3日付けの衆議院本会議では社会党、共産党を含む全会一致だったのである。

社民党・共産党はこの決議をどのように考えているのであろうか。 又、昭和27年12月9日の決議の趣旨説明では「戦争犯罪の処罰につきましては、極東国際軍事裁判所インド代表パール判事によりまして有力な反対がなされ、また東京裁判の弁護人全員の名におきましてマツカーサー元帥に対し提出いたしました覚書を見ますれば、裁判は不公正である、その裁判は証拠に基かない、有罪は容疑の余地があるという以上には立証されなかつたとあります。」と主張している。

--------------------------------------------------------------------------------

第15回国会 衆議院本会議 第11号 昭和27年12月9日(火曜日)

田子一民君 :

只今議題となりました、自由党、改進党、両社会党、無所属倶楽部の共同提案にかかる、戦争犯罪による受刑者の釈放等に関する決議案、につきまして提案の趣旨弁明をいたしたいと存じます。 まず決議案の案文を朗読いたします。 戦争犯罪による受刑者の釈放等に関する決議 独立後、既に半歳、しかも戦争による受刑者として内外に拘禁中のものは尚相当の数に上り、国民の感情に耐え難いものがあり、国際友好の上より遺憾とするところである。よって衆議院は国民の期待に副い、家族縁者の悲願を察し、フィリピンにおいて死刑の宣告を受けた者の助命、同国及びオーストラリア等海外において拘禁中の者の内地送還について、関係国の了解を得るとともに、内地において拘禁中の者の赦免、減刑、及び仮出獄の実施を促進するため、まずB級及びC級の戦争犯罪による受刑者に関し、政府の適切且つ急速な措置を要望する。 右決議する。

わが国は平和条約の締結によって独立国となって、既に半歳をけみしておるのであります。国民の大多数は、独立の喜びの中に、新生日本の再建に努力しております。

この際、この時、この喜びをともに分かつことができず、戦争犯罪者として、あるいは内地に、あるいは外地に、プリズンに、又拘置所に、希望無く日を送っておりますることは、ひとり国民感情において忍び得ざるのみならず、またさらに国際友好上極めて遺憾に存ずるところであります。(拍手)

もとより、講和発効後、関係国の理解により、中国関係戦犯者九十一名の釈放、米国関係十一名の仮出所、また近くは、インド、中国におきましては、戦犯者のある部分につき釈放に同意したとのことでありまして、ここに諸君とともに、これらの国に対しましては感謝の意を表するものであります。

さりながら、ひるがえつて他面を見ますれば、今もつて海外におきましては、死刑の宣告を受けておりまする者五十九名を含む三百八名、これに内地在所者を加えますれば、千百三十名になんなんとする多数の人々は、いまなお獄窓に坤吟しつつあるのであります。

実に私どもの黙視し得ざる点でございます。

そもそも戦犯による受刑者と申しまするものは、旧時代における戦争によつて生じた犠牲者なのであります。これらの人々は、和解と信頼による平和条約の発効の後におきましては当然赦免せらるべきことを期待し、あきらめの態度を定め、従順かつまじめに服役を続けて来ておるのであります。 しかるに、条約発効後すでに半歳以上をけみしましても、荏苒期待に反して、そのことなきことは、私どもの遺憾禁じ得ざるところであり、関係者の失望と焦燥とは察するに余りある次第でございます。いわんや、その家族、縁者の物心両界にわたる苦痛は惨たるものあり、生活の窮乏者さえ多いのであります。これらの人々は、戦後七年間はもとより、また戦時中より通算しますれば実に十数年の長きにわたつて家庭の支柱を奪われ、しかも今日までよく耐え、よく忍んで来ましたゆえんのものは、一に講和条約が発効をしたならばとの期待を持つたためなのであります。

しかるに、事期待に反し、その落胆、焦心は同情にたえざるところであります。さらに一般国民は、戦争の犠牲を戦犯者と称せらるる人々のみに負わすべきでなく、一般国民もともにその責めに任ずべきものであるとなし、戦犯者の助命、帰還、釈放の嘆願署名運動を街頭に展開いたしましたことは、これ国民感情の現われと見るべきものでございます。

およそ戦争犯罪の処罰につきましては、極東国際軍事裁判所インド代表パール判事によりまして有力な反対がなされ、また東京裁判の弁護人全員の名におきましてマツカーサー元帥に対し提出いたしました覚書を見ますれば、裁判は不公正である、その裁判は証拠に基かない、有罪は容疑の余地があるという以上には立証されなかつたとあります。

東京裁判の判定は、現在あるがままでありましたならば、何らの善も生まず、かえつて悪に悪を重ねるだけであると結論づけておりますことは、諸君のすでに御承知の通りであります。 また外地における裁判について申し上げましても、裁判手続において十分な弁護権を行使し得なかつた関係もあり、また戦争当初と事件審判との間には幾多の時を費しまして、あるいは人違い、あるいは本人の全然関知しなかつた事件もあると聞いておるのであります。

英国のハンキー卿は、その著書において、この釈放につき一言触れておりますが、その中に、英米両国は大赦の日を協定し、一切の戦争犯罪者を赦免すべきである、かくして戦争裁判の失敗は永久にぬぐい去られるとき、ここに初めて平和に向つての決定的な一歩となるであろうと申しておるのであります。かかる意見は、今日における世界の良識であると申しても過言ではないと存じます。(拍手)

かくして、戦争犯罪者の釈放は、ひとり全国民大多数の要望であるばかりでなく、世界の良識の命ずるところであると存じます。もしそれ事態がいたずらに現状のままに推移いたしましたならば、処罰の実質は戦勝者の戦敗者に対する憎悪と復讐の念を満足する以外の何ものでもないとの非難を免れがたいのではないかと深く憂うるものであります。(拍手)  

今や、わが国は、世界平和確立に鋭意努力しております。政府は、関係諸国に対し、まずB級及びC級を手始めとして、一日も早く全部の赦免、減刑、仮出獄の処置に出るよう、迅速にして適切な方途を講じ、一は国民感情の満足を求め、家族縁者の悲願にこたえ、一は国際友好の上に遺憾なからしめるよう、強く要望してやみません。 はなはだ言葉足らず、意を尽しませんが、これ本案を提出するゆえんでございます。何とぞ満堂の諸君の御賛成を仰ぎたいと存じます。(拍手)


このあとに、賛成意見が続く。

--------------------------------------------------------------------------------

昭和28年8月3日付けの、衆議院本会議の決議は、 全会一致(社会党、共産党含む)で戦犯の赦免を求める決議が可決されてます。

戦犯の赦免に関する決議 衆議院本会議(昭和28年8月3日)

〈決議文〉

8月15日9度目の終戦記念日を迎えんとする今日、しかも独立後すでに15箇月を経過したが、国民の悲

願である戦争犯罪による受刑者の全面赦免を見るに至らないことは、もはや国民の感情に堪えがたいものがあり、国際友好の上より誠に遺憾とするところである。

しかしながら講和条約発効以来戦犯処理の推移を顧みるに、中国は昨年8月日華条約発効と同時に全員赦免を断行し、フランスは本年六月初めに大減刑を実行してほとんど全員を釈放し、次いで今回フィリピン共和国はキリノ大統領の英断によって、 去る22日朝横浜ふ頭に全員を迎え得たことは、同慶の至りである。

且又、来る8月8日には濠州マヌス島より165名全部を迎えることは衷心欣快に堪えないと同時に濠州政府に対して深甚の謝意を表するものである。

かくて戦犯問題解決の途上に横たわっていた最大の障害が完全に取り除かれ、 事態は最終段階に突入したものと認められる秋に際会したので、この機を逸することなく、この際友好適切な処置が講じられなければ受刑者の心境は憂慮すべき事態に立ち至るやも計りがたきを憂えるものである。

われわれは、この際関係各国に対して、 わが国の完全独立のためにも、将又世界平和、 国際親交のた

めにも、すみやかに問題の全面的解決を計るべきことを喫緊の要事と確信するものである。

よって政府は、全面赦免の実施を促進するため、強力にして適切且つ急速な措置を要望する。

右決議する。


これによって全会一致(社会党、共産党含む)で戦犯の赦免を求める決議が可決された。


--------------------------------------------------------------------------------

この決議に基ずく、関係各国の合意により、A級戦犯の内、懲役7年の実刑判決を受けた重光葵は外務大臣に、無期懲役に処せられた賀屋興宣は大蔵大臣に就任できたのである。即ちA級戦犯はこの時点ですべて国際的に免責されたのである。そして無期懲役の判決を受けた人は、勲一等の栄誉を受けている。

この事にはどの国も異論を挟まない。

ドイツとの比較については、ナチスの最大の犯罪はユダヤ人の虐殺である。日本はそのような人道に対する罪を犯していない。

又ドイツは開戦責任をヒトラーとナチスに押し付け、国民は責任が無いかのごとく主張している。ヒトラーを選んだのは誰だったのか。 日本はそんな卑怯な民族ではない。又日本は戦前も民主国である。独裁国家のごとく言われているが、東条首相でも政権をとったのは僅か3年であり、形勢が悪くなると解任されている。独裁者などいなかったのだ。だから開戦責任は彼らだけにあるのではなく、国民全体が負うべきだと、当時のすべての国会議員は考えたのである。

中国はサンフランシスコ講和条約11条で東京裁判を認めたのだから、彼らの罪を認め、靖国神社に合祀することは認めないと言っている。

しかしその11条第2項で彼らは既に赦免されているのである。

確かに当時中国を代表したのは蒋介石政権であり、中共政権は関与していない。 国際常識として、革命等で政権が変った時、後継政権は前政権が結んだ国際条約を引き継ぐのである。ソ連が崩壊した後、ロシアがソ連の結んだ国際条約を引き継いでいる事がその例である。

若し国民党政権が結んだ条約や約束は知らないと言うなら、台湾を中国の一部だと主張する資格はない。中共政権は一度も台湾を支配したことがなく、全く別の国である。

同じ国だと主張する以上、国民党政権が結んだ条約や約束は、引き継ぐ義務を有する。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

日本の教育は戦後史を正しく教えていないばかりか、自ら歪曲し自ら、進んで自虐史観を国民に押し付けていたと思う。ここに日教組や左翼勢力の圧力を感じる。

正しく、事実を理解したうえで、われわれは政治的な事柄に対処しないといけない。

靖国に祭られたA級戦犯者とされる人たちを、われわれは赦免している。その事実を声高に癒えないでいた経緯こそ問題とすべきだろう。


中国に関しては毛沢東前と毛沢東後の経緯を分けて分析すべきだろう。

どこから毛沢東の共産党とその後の共産党では日本への対応政策が大きく変化した。その過程をむしろ丁寧に分析する必要があるだろう。

それは別のこととして、私も昭和28年の国会決議を初めて知った。恥ずかしいことです。