拓殖大学に中国人の教授がいて、その先生の中国の分析記事を見つけた。

「王曙光の中国産業論」

http://search.searchina.ne.jp/cgibin/auto.cgi?keyword=%89%A4%8F%8C%8C%F5&search.x=41&search.y=4

高速鉄道について検索していたら、一連の記事が合って読ませていただく。サーチナに年に記事を書いていて、この高速鉄道の記事以降は投稿がない。


高速鉄道の概念について、王先生は中国が日本の技術をパクっているという批判に真っ向から否定する。中国における高速鉄道の概念は高速で走る車両だけではなくて、駅舎から始まりその運用におけるソフトを含むすべてをさしており、その技術を中国は独自開発しており、車両技術は正当にど運有したものであるから、その批判は当たらないというのだ。

多分、どのようにでも言い方はできるだろう。走らせてしまえばあとはどうにでもなる。

<日本から「はやて型」(東JRのE21000番台)が中国に供与された際、技術供与の対価に関する協定が結ばれ、その後の国内製造においても、中国企業は日本側に巨額の技術使用料を払い続けている。言ってみれば、中国側が日本の技術を合法的に使用しており、「盗用」や「パクリ」に当たらない。しかも、このライセンス料は高速車両関連技術供与の対価であって、高速鉄道システム全体にわたる技術供与の対価ではない。>

私は、詳細は理解していないので、彼の主張を肯定して、その後の独自に開発した技術で、中国くまなく高速鉄道を敷設したことはすごいことだと思う。


<そもそも、在来線を走る「動車」に使われる車両は、日独仏加諸国から導入された原型車(中国国内でのライセンス製造も含む)が主流で、製造や運行などでも海外から供与された技術をほぼそのまま使っている。また、低速旅客列車や貨物列車と混在するため、信号系統や運行システムは比較的旧式のもの、あるいは旧来の路盤・信号などを改造したものが多い。「準高速鉄道」という表現も使われているが、日本の秋田新幹線のように在来線を走るところから、「在来線高速列車」とも呼ぶべきだろう。

 一方の「高鉄」は、時速350キロ走行と高速鉄道専用線を持つのが最大の特徴で、中国自前の技術も入っているCRH380Aのような新型車両が使われている。また、運行制御システムも欧州技術がベースとなる「CTCS-3型」(「動車」に使用される「CTCS-2型」より高性能)を採用しており、すでに前の回で紹介した上海虹橋総合ターミナルのような近代的施設も備えられている中国最先端の高速鉄道システムである。

 「動車」と「高鉄」の区別は、在来線を時速200キロで走るか、高速専用線を時速350キロで走るかだけではない。前者は2007年から海外技術をベースに運行開始し、中国ではすでに成熟した在来線旅客輸送の手段となったのに対し、後者はつい最近までスポットライトを浴びていた中国自慢の「世界最高速」の高速鉄道なのである。さらに言えば、「723事故」発生前までに中国鉄道部が「完全たる知的財産権」とアピールしていたのも、日本のマスコミに「盗用」と非難されていたのも、この「高鉄」のことなのである。>


中国独自の技術開発であるから日本のマスコミにとやかく言われるものではないと中国の言い分を補完する。王先生の言い分を受け入れましょう。

今後、世界に輸出しようという鉄道は中国の技術であると言うことで、理解しましょう。

在来線型の高速鉄道でもそれはフランスやドイツなどが開発した技術をベースにしている。アジア諸国にその在来線型の高速鉄道技術を輸出するのだという。

鉄道の役割について日本と中国では、捉え方が違うように思える。日本の新幹線も飛行機との競争では不利な立場にあり、長距離列車は走らせていない。東京ー博多、大阪ー鹿児島で、東京から鹿児島への便はない。

寝台車両もないのは、発送が違うのだ。

上海の飛行場のように広大な駅舎、ホームなど、また改札口や乗車券の発売制度など、王先生が上海の総合ターミナルを将来の姿として持ち上げているけれど、ただ広く、駅舎、ターミナルを移動するだけで時間がかかる不便な仕組みに見える。


雨のち晴れの記

機能的には恐ろしい代物で、5分間隔で列車を運行する駅の構造ではない。

飛行場と同じ発想で駅舎を作っている。

正直、それらのことは中国的な発想であって、それをとやかく言うことはない。日本の新幹線はシステムは王先生が言う、列車だけでなくて、それらを運行するすべてのシステムの技術を指すものだろう。それらが中国的に改善された姿がこのハブ的駅舎だというのだ。これが中国の技術的開発なのだ。日本システムは安全を最重点においてるからコストが高い。それを安価にできるとしたのが中国的技術であって、それらは独自に開発したものだというのです。

在来線を200キロのスピードで走る在来型高速列車と500キロのスピードで走る「高速」列車の技術は違うから、日本の技術から発展させたものだというのだ。

その通りでしょうね。このような発想を日本では取り入れていないし、GDPの数字を大きくするための手段として日本は高速鉄道を建設したわけではない。

高速列車は人間を運ぶもので貨物を運ぶものではない。

問題は経済効果と投資コストの回収ということにある。高速鉄道に集中するあまり在来線の改修や電化、貨物列車の高速化などはいるのだろうか。

それらの物流に対する役割はどうなのだろう。疑問に思うところでもある。

王先生は私の疑問に答えてくれる。

<莫大な負債で中国の高速鉄道事業が破綻するのか。筆者の答えは否である。中国各地で建設される高速鉄道幹線は建設周期が短いため、元本償還の開始が早く、利息負担も実質上軽くなっている。南北大動脈となる北京―広州(香港まで延伸)高速鉄道の例で見ると、先に開通した武漢広州区間で営業収入が入る。それを受けて北京武漢区間の建設が進められ、全線開通を迎えようとしている。日本の整備新幹線のように、建設周期が長すぎて、建設期間中の元利負担が膨張する最悪の事態は、中国では発生していない。

  一方では、高速鉄道の開通によって、沿線地域経済の活性化が進み、都市開発、観光促進、雇用増加など、「日帰り経済圏」と呼ばれる広域経済圏の形成により、経済発展の促進効果が明らかになっている。さらに、旅客専用の高速線開通によって、在来線の貨物輸送力が解放され、中国経済の「アキレス腱」と称される物資輸送力の増強につながった。中国政府が高速鉄道建設を景気刺激の起爆剤にしたのは、まさしくこのような総合的経済効果に着目したのである。

  毛沢東の時代から、「全国は一局の将棋なり」との名言が中国にある。この言葉の真意を理解するのには、中国における「戦略的国家事業」の意義への正しい理解が欠かせない。中国では、高速鉄道建設は棋士に動かされる「駒」に過ぎず、決定的な役目を果たすときもあれば、全局勝利のための「捨て駒」になることさえある。景気刺激のための大盤振る舞い劇を演じる役も、緊縮財政政策の犠牲になる役も、高速鉄道事業に課される使命だったのかも知れない。

 高速鉄道建設を主導するのは鉄道部、巨額負債を抱えるのも鉄道部。しかし、高速鉄道の開通によって経済が潤うのは沿線各地方の都市と農村、地域経済の活性化で開発戦略が実るのは中央政府である。4兆元の波及効果が中国だけでなく、リーマン・ショック危機から世界経済を救ったのが記憶に新しい。しかし、その4兆元の約3割を占める高速鉄道関連投資がどれほど景気刺激に寄与したのか、残念ながらそのことが人々の記憶にとどまっていないようである。(王曙光の中国産業論(10)中国高速鉄道の「借金」をどう見るべきか?)>

日本にいる学者がこのように分析するのだから、そのとおりなのかもしれないけれど、それでも疑問は消えない。

こおで王先生がいうような効果が本当に出ているのだろうかということと、乗車率の低い状態で再参加取れるのかということ、さらにコンクリートの十分に乾くまもなく建設している橋脚やトンネルの維持費改修費など、これからのコストをどのように回収するのだろうか。日本でも国鉄時代の親方日の丸経営を観てきた。その結果の民営化を進めてきた。

住宅開発のゴーストタウンの写真を並べて見たけれど、この高速鉄道網の建設も、第二のゴーストタウンのようになるのではないかと恐る。

実際に北京ー上海間の列車の運転本数や乗客の利用率などの正確なデーターはないからわからないけれど、北京ー天津間の高速鉄道ですら開業以来7億円の赤字だという。

公共投資で税金をつぎ込む。税金の代わりに人民の金を投資させる形で、不採算性の鉄道を建設する。鉄道省も解体されたけれど、中身は変わっていない。


ウルムチまでもこの高速鉄道が敷かれていく。永遠に採算の取れない投資である。

元の切上げなどで貿易の輸出の縮小、賃金の上昇による製造業の減少などの推察すれば、これらの投資とメンテ費用の回収ができないとき、これらの鉄道はどうなっていくのだろう。