25日(日)のBiz+サンデーで放送
10年前からFab Labを提唱し、デジタル製造革命を指摘してきたのが、
米MITのニール・ガーシェンフェルド(Neil Gershenfeld)教授の話
■大量生産から、誰もがどこにいても簡単にモノづくり(“MONOZUKURI”)できる時代に突入し、産業革命が起きている。つまり、情報通信分野で起きたデジタル革命がいま製造業で始まっている。歴史的な転換点だ。
■ソニーやパナソニックなど日本メーカーの最大のライバルは、これまで製品を買っていた消費者になる。もちろん大量生産がすべて新しい手法に置き換わるわけではないが、消費者は自ら欲しいものをつくるので、図体の大きい、伝統的なメーカーはなかなか勝てない。
■3Dプリンターばかりが着目されるが、議論を矮小化しているため、私は嫌いだ。台所用品をすべて置き換えることのなかった電子レンジのようなものに過ぎない。
■大きな図書館、小さな図書館、さらに自宅に本があるように、将来は、モノづくりのための工作機械が点在し、設計図をデジタルに送って加工するようになる。
こんな発言が特に印象的でした。
何度も「SFみたい」とつぶやく私に一生懸命説明してくれました。
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2012.10.17 WIRED
製造革命の到来。「モノのロングテール」が取っ払う前世紀的な3つのルール
アマゾンらが起こした流通革命に続き、3Dプリンターや個人に開かれた工場によって製造革命が起こり、劇的な変化を世界にもたらす。ベストセラー『ロングテール』の著者でもあるUS版『WIRED』編集長のクリス・アンダーソンが提唱する、ものづくりの新たな概念「モノのロングテール」とは何か?Kickstarterでヒット
したメタウォッチ社のSTRATA。世界トップブランドをクライアントにもつPCHインターナショナルが、その製造とサプライチェーンマネジメントを担う。
一昔前は、消費者が普通に購入できる商品というのは、次の3つの関門をくぐり抜けたもののみであった。
1. 大量生産に見合うこと
2. 大量流通に見合うこと
3. 消費者の目にとまること(広告、または最寄り店舗での販促を通して)
だが、インターネットによって「ロングテール現象
」が起きた。アマゾンが中心となって流通革命を起こし、グーグルが築いた検索技術と相まって、2と3の条件が取っ払われた。無限の「陳列スペース」をもつデジタル市場ができ、商品を発見する手段が検索に変わったことで、ニッチな品物でも見つけることができるようになり、そしてクリックひとつで、それを家まで届けてくれる時代となった。
US版『WIRED』編集長のクリス・アンダーソンは、2008年に出版した著作『ロングテール
』でこの「ニッチ文化への転換」について書き話題を巻き起こした。だが、当時はまだ1の条件をクリアすることはできていなかった。確かに、オンラインで世界中に販売することで、ニッチな商品でも十分な需要が見込めるようになったため、大量生産は必須条件ではなくなった。しかし、アンダーソンによると、それはまだ不十分であり、1の条件を取っ払う製造革命はこれから本番を迎えるという。
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NHKの番組を見て、さらにネットでWIREDの記事を読んで思いました。
製造業に大きな革新をもたらす動き。はじめて知りましたが、今までの大量生産神話を破壊するものであり、マーケティングの思想を根本から変えてしまいそうです。
教授はこの動きに対してキーワードは、パーソナルとデジタルの2語を挙げています。
パーソナルと言うのは<自由な個人>が前提ですし、デジタルはまさに今の技術です。
この生産革命はまさに19世紀以来のマルクス的な生産手段の独占と言う構造、プロレタリアートは生産手段から疎外されているという認識を根底からひっくり返して、需要が生産を規定するという関係、それもパーソナルな需要を実現するという方向に経済活動を導いていくものです。日本の技術の高い中小のものづくり集団には、ほんとに好ましい方向で、今までの長大重厚の様式を変えていくでしょう。
私も詳しくはありませんが、このデジタル産業革命の担い手となるファブラボなる集団が50カ国で活動して、日本にもかなりの拠点があるようです。テレビで世界中の拠点が示されましたが、中国には一ヶ所もありませんでした。この革命が21世紀を揺り動かすことになるかもしれません。経済構造も相当変化して、資金調達や情報交換などの仕組みがもっと開発されるでしょう。
私は日本がこの動きに中心的に参画できることを期待します。まさにイノベーションですし、発想の転換です。
この番組を見てて、思ったことは中国が21世紀の製造革命についていけないのではないかと言う不安がよぎりました。
その理由は、19世紀の思想にしがみついて、すでに自由な思考を失っているので、これらの考え方についていけないのと、20世紀的資本主義的構造を目指して開放経済を進めてきたけれど、それらjはもはや行き詰ってるもので、イノベーションを世界は求めていたのです。その時流に転換しきれない。今までの膨大な投資を回収できないままに、方向転換を必要とされるでしょうから、とても難しいことだと思います。
日本にはフェブラボが10以上あるようで、横浜で世界大会を開くなど積極的なのはいいですね。
若い世代のチャレンジこそ歴史を切り開いていくものです。期待します。
2012.10.17 WIREDの記事に対する批判というかコメントとして、それほど「革命」と言えるようなものではないという識者の投稿がありました。でも大量生産大量消費のアメリカ的思想が変化の芽を造り出しているところに注目したいのです。
このような動きと「自覚的な資本主義」という思想が少しづつ浸透しています。アメリカがイノベーションを興す力を持つことが大事なのです。