勝又氏の経済時評ブログ
『人民網』(8月11日付け)は、「日本車の命運は中日関係次第」(筆者は、何侖『国際商報・汽車周刊』編集長)を取り上げて、トヨタに「裏工作」を誘う卑怯な手口とごく評されております。

このブログを読みながら、中国のこういう記事を書く人たちは、本当に世界はみな中国のような政治環境にあって、政府は<強力な指導力>を持っており、その政策は官僚らへの<賄賂次第>で変わるという基本認識が出来上がっているのでしょう。

中国を動かす制度が世界でも優れたものであり、世界第2の国力に導いた党とその制度は世界に類のない中国特徴の社会主義を造り出しているという<自惚れ>によっている。

だからアメリカや遠くヨーロッパの国はいざ知らず、東アジアは中国と似たり寄ったりという先入観がこういう記事を平気で書かせるのでしょう。

それは<経済>に政治が権力で介入し、企業の方針にも口が出せるという体制、それが<中国的社会主義>なので、日本に対しても同じ感覚でいるのでしょう。


最近の人民論壇では<憲政主義>という言葉が出てきている。これは西欧の三権分立に対する批判的傾向があるのと、現状体制の補強という側面もある。またエジプトの状況から<民主化否定論>、さらに<自由主義>の否定論、その前に<党の転換>とさまざまに<中華夢>=中国特色社会主義の建設論を理論補強を知るような記事にあふれていて、それも多くは大学教授とかの肩書を持つ人たちが書いてはいるが、少しも実証主義的ではなくて、観念的だ。

理屈なしに自国の制度はすぐれていると強調するので、思い込んだらなんでもそう見えるのでしょう。

勝又さんの記事を読んで、「トヨタに日本政府に金を出して、方針を替えさせれば、トヨタの車がもっと売れるようにしてあげる」という人民網の記事は、いかにも中国人的発想であって、近代社会の成り立ちを理解することなく中華思想に酔いしれてるとしか思えない。


勝又氏の言うように、日本を見誤っているのは、学問の世界において、実証主義的態度が欠落しているからでしょう。それは共産党を批判することが許されない言論の自由と学問の自由がないからでしょうね。トヨタは、すでに中国戦略を方向転換していますね。インドネシアとタイに清算拠点を移すことを公表しています。

中国での自動車販売が日本のようにローンではなくて現金買いが主のように思うのだけれど、バブル崩壊を予測すれば、高級車を現金で買ってくれる顧客にターゲットを絞る方が賢明だろうし、工場はアッセンブリなので、東南アジア諸国に移動できるだろう。むしろトヨタや他の日本車メーカーが中国の景気停滞、減速による消費の減少リスクにどのように対応しているのかが問題だろう。勝又さんもその点をフォローして日経の記事で解説している。

日本のバブル崩壊後どのような現象が続いたかを調べてみたいですね。

あの時に稼ぎ出したお金が、結局、泡のように消えてしまったのですから。中国ではその泡の部分を海外に持ち出してしまっているでしょうし、最後は中国から逃げ出すのでしょう。

中国人と一派ひとからげに言うけれど、実際には漢民族とその他の民族が「国民」意識を共有できていないのではないでしょうかね。

トヨタへの言動から透かして見えるのは、自国の物差しで日本をみて、自惚れているということです。

「人民」がかわいそうですね。そう見えてきます。