今月に入り、人民論壇や人民網などの小論文をいくつか見ていると、現在の中国の方向が見えてくるようだ。

対日論調は、相も変わらず尖閣諸島をめぐる議論は、「中国の領土であることを認めない日本が悪い」という言い方で吹聴していることには変わりはないが、反日的対抗強気論は若干後退しているようにも見える。ただまたいつどうなるかはわからない。「人民網」で掲載された中日関係の「冷政涼経」へ変化していて、二国の経済関係の悪化は日本よりも中国の方に影響が大きいという見方も出てきている。対日関係は少し冷却させようという雰囲気を感じる。また中日韓FTA交渉に期待するような意見も散見される。

ここにきて論壇の特徴

①「共産党の転換」

②「中国夢」の更なる追求

③自由主義の否定

が増えていることだ。

その根底にある中国の現状認識は、a)現在の<中国特色的社会主義>が中国夢を達成し、世界第二位の経済規模に達したこと。b)ドイツ、日本を抜きさり、将来はアメリカを抜いて世界一の国になる。c)その発展は中国の政治体制が優れているからだ、というものです。

「世界の中国経済評論:誤った判定」 2013-08-22 15:というのがあって、中国経済がバブルになるという見方を否定して、さらに発展するという論調。

「中国の現在の社会の矛盾を理解する方法」というような記事で、現状の矛盾を指摘するものもあるが、その矛盾解決には更なる成長戦略をとるべきだというもので、具体性がない。

ここ数日間で出ている小論文記事を挙げてみると・・

①「中国共産党の転換」2013.8.20 人民論壇。

②「型的必要性、必然性与迫性」人民論壇など。

さらに、最近面白いのは<市民社会>や<自由主義>を否定して、中国的特色社会主義の優れていることを宣伝する文章が出回り始めてきたことだ。

③“公民社会”:新自由主义编造的粗糙神2013-07-31 《人民论坛 

(「<市民社会>は自由主義の捏造神話だ」)

④新自由主无助于实现中国梦(新自由主義は中国夢を実現を助ける)

  2013-08-20 人民论坛

⑤「中国特色社会主政治展道路的自自信」人民日報

⑥「沈宝祥: 中国特徴の社会主義」2013-08-14  北京毎日

⑦民主集中制“民主”と“集中”関係の考慮 2013-08-23 作者: 黄百

⑧捍社会主义宪政的威与生命:政姓

 「社会主義憲法上の権限と生活を守る: 接続「憲法資本主義」論」2013-08-23

    人民论坛 作者: 千帆

克思主中国化的思想自我 2013-08-23 南京政治学院学 胡海波 马军

などなど、というのが毎日出てくる。

本来は中国人のお友達がいて正確に読めればいいのだが、とりあえず翻訳ソフトで訳しているけれど、途中で嫌になる。

本質的に見てすべて学問的論文ではなくてプロパガンダの類と言える。

中国を思想史的にとらえて、その変化の中にどのような概念が抽出できるかという問題で眺めた時に、彼らの基本的な思想の枠が<共産主義>と<毛沢東主義>の2つに拘束されていて、今や全くの教条主義に落ちっていると言っていいだろう。

⑨のマルクス主義を中国化するという論文だ。

特に⑦の論文で取り上げられている<民主>の概念とはどのようなものかと思ったら、西洋的<民主>概念とは全く異なって、単に被支配者の<人民の要求>をどれだけ正確に把握して実現させるかが党の役目であって、党の行動の基盤が人民の要求に忠実に答えること亜から、それが中国の<民主>概念なのだ。

論法常に共産党は科学的に世界と時代をとらえており、人民の望みを実現させていく使命があるから<民主>と<集中>は有機的な関係だというのだ。

ともかく面白い。よくこれだけ学問と離れて屁理屈がこねられるものだと感心する。<中国のような人口多い国では、利益集団多層は多様であって、それぞれが言い合えば、社会発展の平衡がとれなくなり、西洋的方式はきっと社会的統合を乱し、人民内部の分裂を引き起こして経済社会の発展速度を延ばして社会の変乱と不安定を誘発する。>西洋の指導者は“国民の政府”、“人民は至上です”と口先でいうだけで利害関係者を代弁しているに過ぎない。

だから中国には向かないというのだ。そして<中国共産党は科学によった世界観と方法論武装した先進的政党で、・・・完全にリーダーとして正確に人民を誘導できることを自覚している>と言うのです。