家計に社会保険料負担 | 経済あらかると

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 総務省は本日、4月の家計調査報告を公表しました。家計消費は実質で前年比0.5%増と、久々にプラスとなりましたが、前月比では1.2%減少し、実勢は依然として弱い状況です。4月の実質消費水準は1-3月平均を0.1%上回るにすぎません。その裏には、4月に高齢者世帯を中心に社会保険料負担が高まり、可処分所得を圧迫していることがあります。

 

 4月の家計消費は前年比で実質プラスになりましたが、その内訳にやや不自然さも見られます。増加に最も大きく寄与したのが教育費の実質25.9%増です。私立大学授業料の増加が大きいのですが、私立高校授業料も全体を0.54%押し上げています。ウエイトの大きい東京で高校授業料の無償化を始めただけに、全国とはいえ、この授業料の大幅増は異例です。また仕送り金の増加が1.35%押し上げていますが、これは所得移転で本来消費にはカウントされません。

 

 その中で、自動車購入が大きく減り、外国、国内パック旅行の価格上昇のために実質で大きく減少、消費を押し下げています。

 

 実質実収入は前年比0.6%減で、世帯主分が0.3%減、配偶者が6.0%増、その他世帯員が3.6%減となっています。

 

 また非消費支出(税、社会保険料)が11.6%増となって可処分所得を押し下げています。このうち社会保険料は勤労者世帯で前年比8.0%増に対し、高齢者の多い「無職世帯」では20.3%の大幅増となっています。

 

 世帯別にみた消費の伸びは、勤労者世帯が0.3%増ですが、その可処分所得は2.6%減となっています。また無職世帯の消費は1.6%減で、3月の5.1%減に続いて減少しています。高齢者の社会保険負担増がじわっと効いています。