4月の賃金改定は限定的 | 経済あらかると

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 30年ぶりの大幅賃上げが言われる中で注目された4月の賃金統計が厚労省から発表されました。「毎月勤労統計」によると、所定内給与は3月の1.7%増から2.3%増に高まり、名目賃金全体でも2.1%増加しましたが、物価が2.9%上昇したため、4月の実質賃金は0.7%減となり、これで25か月連続の減少となりました。

 

 春闘賃上げの反映時期は企業によってばらつきがありますが、4月ら引き上げる企業も少なくありません。そこでベアが反映される「所定内給与」の伸びを見ると、前述のように3月の1.7%から4月は2.3%増に高まったように見えます。しかし、これはこれまでの「非正規化シフト」が4月は止まったためで、正規、非正規労働者それぞれについてみると、賃上げの成果はまだ限定的です。

 

 例えば、正規雇用の所定内給与は今年になって1月から順に1.8%、2.2%、2.0%増ときたあと、この4月は2.3%増で、3月、4月の間では0.3%の改善にとどまっています。

 一方、非正規の所定内はやはり1月から順に3.6%、3.8%、4.9%増ときた後、4月は3.6%増で、特段改善は見られません。賃金改定が5月以降にずれ込むところも少なくありませんが、4月の数字を見る限り、「30年ぶりの大幅改定」はまだ実現していません。

 

 4月は残業代が減ったこともあり、物価は最近の中では比較的低い上昇だったにもかかわらず、実質賃金のプラス化はまだ実現していません。5月以降は電気代の上昇などで物価はさらに高まりそうなので、5月以降の賃上げ反映が進まないと、実質賃金の減少は止まりません。賃上げ推奨だけでなく、物価上昇の抑制にも政府は目を向けるべきと思います。