パウエル議長利下げ時期に言質与えず | 経済あらかると

経済あらかると

生活を豊かにする経済情報を提供します。

昨日6日にパウエルFRB議長が米下院で証言しました。ここで利下げについての言及が注目されましたが、年内には利下げが可能としながら、その開始時期については今後のデータ如何、と述べ、言質を与えませんでした。

 

 経済は堅調なペースで拡大し、労働市場も堅調だが、インフレが急改善し、ソフトランディングが実現できる、との見通しを述べました。そして利下げが早すぎればインフレが再加速するリスクがあり、引き締めが長すぎれば経済拡大にダメージとなるリスクがあると、両面併記となりました。

 

 市場は少なくとも追加利上げのリスクは後退したとみ、年内利下げに期待して10年国債利回りはやや低下、2年国債はやや上昇しました。株価にはあまり影響しませんでした。

 

 この日、ベージュ・ブックが公表され、12地区のうち11の地区で年明けの経済は横ばいないし拡大したと報告。物価については輸送費の高まりや保険料の引き上げなどが物価を押上げているとし、インフレの上振れ圧力を報告しています。FRBが注目するPCE価格指数は22年6月の7.1%から足元は2.4%まで改善していますが、今後の改善が進むのか、懸念材料も指摘されました。

 

 なお、アトランタ連銀の超短期GDP予想「GDPナウ」は6日時点で1-3月のGDPを年率2.5%と、これまでの2.1%から引き上げました。個人消費を2.2%から2.6%に、国内民間投資を1.1%から1.8%に引き上げたためです。

 

 今週末の雇用統計が注目されますが、昨日のADP民間雇用は14万人の増加となり、予想の15万は下回りましたが、前月の11万1千人を上回りました。転職していない労働者の賃金は、前月の5.3%増から5.1%増にやや減速しました。