数字以上に悪いGDP | 経済あらかると

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内閣府は本日、昨年10-12月期のGDP(国内総生産)が前期比マイナス0.1%(年率マイナス0.4%)だったと発表しました。前期に続き2四半期連続のマイナス成長となり、形式的には日本経済が「リセッション」にあることを示しました。しかし、内容は数字が示す以上に悪いことがわかります。

 

 まず内需は個人消費、住宅投資、設備投資、在庫投資、政府支出といずれも減少しました。内需の成長寄与はマイナス0.3%です。このうち、経済の主力である個人消費と設備投資は3四半期連続の減少となりました。

 

 これに対し、外需が0.2%の成長寄与となったのですが、財貨の貿易でみると、実質輸出の増加は0.2%で成長寄与度はゼロ、輸入は財貨が3.0%増で、寄与度はマイナス0.6%です。つまり、モノベースの外需の成長寄与度はマイナス0.6%で、サービス貿易が0.8%も成長を押し上げています。そのうち、インバウンド消費の寄与は0.1%にすぎず、残りの0.7%は一時的な企業提携に伴う収入と、サービス支出の反動減という「一時的」なものです。これがなければ、実態的な成長率はマイナス1%(年率4%)となります。7-9月のマイナス0.8%成長より、実態的にはさらに弱かったことになります。

 

 消費の背景となる実質雇用者報酬は0.1%増と、2期連続の減少のあと、辛うじてプラスとなりましたが、力不足です。消費は耐久財消費が増えたほかは、食料などの非耐久財やサービス消費が減っています。

 

 今年1-3月は、外需でサービス貿易の反動が予想されるので、外需寄与はかなりの確率でマイナスとなりそうです。さらに、年明け早々に能登半島地震があり、トヨタグループの生産停止もあって1月の生産は大幅減少が見込まれています。湖心消費も物価高で購買力が低下し、ペントアップ需要も息切れが見られます。これらからみると、GDPは3四半期連続のマイナス成長となるリスクもあります。

 

 政治の無力と物価高を放置してきた日銀のつけが今重くのしかかっています。