3月利下げはFRBの基本シナリオではない | 経済あらかると

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 昨日終了したFOMCは、予想通り現状維持でしたが、市場は3月以降にどんなインプリケーションを与えるのか、パウエル議長は3月以降にどんなヒントを与えるのか、注目しました。

 

 その点、声明文では、インフレ率が持続的に2%に向かっているとの確信がさらに強まるまで、金利の誘導レンジの引き下げが適切になるとは予想していない,と明示。3月利下げの期待を払しょくしにかかりました。

 

 前段で、インフレ率はこの1年で緩和したが、依然として高どまっている。そしてインフレリスクを引き続き大いに注目している、と書き、インフレ目標にはまだ至っていないとの認識を示しました。GDPベースのコアPCE価格指数は3Q,4Qに2四半期連続で前期比年率2%を達成していましたが、パウエル議長は会見で、「インフレ率を少なくとも年ベースで、FRBが依然として高いとみなす水準から低下し続ける、との確信が強まれば利下げをする」と述べています。そして確信が強まるのは時間の問題、とも述べています。

 

 つまり、方向はよいが、もう少し時間をかけてこれを確認したい。利下げはそれから、ということのようです。

 

 この声明文、パウエル会見で金利はいったん上昇、株は一段と売られました。特にハイテク関連のナスダックはこれまで上がりすぎていたこともあり、この日は2%以上下落、S&P500も1.6%下落しました。この株の下落を見て10年国債利回りは4%を割り込み、3.918%まで低下しました。

 

 昨日公表された日銀の決定会合での「主な意見」では、FRBのこうした動きが伝わっていたのか、日銀がマイナス金利解除に動くには海外情勢は「千載一遇」の状況、との認識が示されていました。欧米の利下げが遅れそうな分、日銀の正常化に動くチャンスとみているようです。