日銀の正常化機運に水を差した東京のCPI低下 | 経済あらかると

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 日銀の植田総裁は23日の会見で3月のマイナス金利解除も否定しない姿勢を見せ、市場では金融政策正常化を意識するようになりました。しかし、本日総務省が公表した1月の東京都区部のCPI(消費者物価)は前年比1.6%の上昇に急低下し、正常化機運に水を差す形となりました。

 

 1月の東京都区部のCPIは全体で前月比0.1%下落、前年比1.6%の上昇となりました。前年比では12月の2.4%から0.8ポイントも低下しました。日銀がインフレの尺度にする生鮮食品を除いた「コア」も前月比0.1%下落、前年比は1.6%(12月は2.1%)の上昇に減速しました。

 

 エネルギーが政策効果(マイナス0.45%)以上に大きく下落した上に、宿泊費の上昇が大きく鈍り、また据え置き型電話の通話料引き下げなどが重なり、コアコアも前月比で0.1%下落しました。

 

 前年比ではエネルギーが20.1%下落と、前月の18.8%下落から加速しました。電気ガスともに下げ幅が拡大しています。また宿泊料は前月の58%上昇から26.9%に減速しました。

 

このため、財はエネルギーの下げにより1.4%の上昇、サービスは宿泊料の減速から1.7%の上昇と、それぞれ前月の2.6%、2.2%から減速しました。3か月前比の年率では全体が1.2%下落、コアが0.8%の上昇、コアコアが1.6%の上昇と、瞬間風速も急低下しています。

 

 実質値の計算に用いる帰属家賃を除く総合は1.9%の上昇と、前月の2.9%から1%ポイント低下しました。なお、2月分から電気ガスの激変緩和措置による前年比の低下効果がはげ落ちるので、その分全体の上昇率は高まります。