師走に音楽で一息 | 経済あらかると

経済あらかると

生活を豊かにする経済情報を提供します。

 何かとあわただしい師走。時間のある時に好きな音楽で一息入れたいと思います。クラシックの好きな私の場合は、協奏曲でいろいろな楽しみ方をしています。朝ドラでスズ子がバンドとコラボしているのと共通した面があり、ソリストがスズ子、オーケストラがバックバンドのようなものです。

 

 暮れに聴きたい協奏曲は3つ頭り上ります。1つは、ブラームスのピアノ協奏曲2番で、カール・ベーム指揮、ウィーン・フィルとバックハウスの競演によるものです。ロンドン・レーベルの温かい音と、ピアノ付きの交響曲ともいわれるような、オーケストラの重厚でかつ美しい響きが、バックハウスのピアノと絶妙なバランスで音楽を奏でます。名人が3つ揃ってそれぞれの良さが味わえる素晴らしい演奏です。おすすめはレコード盤によるものですが、CDでも復刻しています。今から60年近く前の演奏ですが、その割に良い音をしています。

 

 これと対照的に、ピアニストを前面に出す録音が、ラフマニノフのピアノ協奏曲2番と3番で、演奏はパーヴォ・ヤルヴィ指揮、チェコフィルハーモニーと、クティア・ブニアティシヴィリのピアノによる2016年の録音です。ラフマニノフが自身ピアノの名手で、ピアノの技術、美しさを前面に出す曲です。この1枚はオーケストラの音をやや抑制して、ピアノの演奏を、ソロの部分だけでなく、オケと合奏の部分でもピアノの音が1粒すつ聴きとれる演奏で、ピアノを学ぶ人はもちろん、彼女のファンにとっても堪えられない演奏です。オーケストラ・ファンにとっては、チェコ・フィルの美しい音をもう少し聞きたいと思う面もありますが。

 

 もう1枚が、ブラームスのヴァイオリン協奏曲で、ルドルフ・ケンペがベルリン・フィルを指揮し、ユーディ・メニューインがヴァイオリン・ソロを受け持つもので、1957年の録音です。この演奏の魅力は、第二楽章の美しさです。オーボエのソロが天国的な美しさで、これにメニューインのヴァイオリンが負けず劣らず美しい音で共演します。このオーボエ、ひょっとすると、1957年から22歳の若さでベルリン・フィルの首席オーボエ奏者となった名手ローター・コッホの演奏かもしれません。これと一緒に美しいフルートを聴かせてくれているのが、やはり名手オーレル・ニコレです。いろいろな楽しみ方のできる1枚です。

 

 暮れのあわただしさを一時忘れて、一息入れませんか。