円安でも景気の足を引っ張る外需 | 経済あらかると

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 財務省は本日、10月の貿易統計の結果を公表しました。10月はドル円が前年比30%も円安でしたが、10月も年率25兆円の貿易赤字を出し、外需寄与がGDPを押し下げる形となっています。

 

 10月の輸出は前月比2.2%増、前年比25.3%増となりましたが、数量ベースでは前年比0.3%の減少となりました。自動車が金額ベースで前年比81.0%の増加を見せたのですが、他のものでは稼げず、円安のメリットを生かせていません。

 

 一方の輸入は前月比4.2%増、前年比53.5%増と輸入物価高が金額を膨らましていますが、数量ベースでも前年比5.6%増となりました。依然として原粗油が前年比97.1%増、LNGが同150.9%増、石炭が154.0%増と、化石燃料の輸入が押し上げています。

 

 地域別ではこれまで最大のシェアを持っていた中国向けの割合が20%を下回り、米国に首位の座を奪われました。数量ベースで仕向け地別の伸びを見ると、EU向けが9.4%増、米国向けが4.7%増となったのに対し、中国向けは16.0%減となりました。中国向け輸出の落ち込みが響いています。

 

 生産やGDPへの影響を見るために、日銀の実質輸出入で限界的な動きをみると、実質輸出は10月が前月比1.3%増、7-9月比では2.1%増となったのに対し、実質輸入は10月が前月比4.7%増、7-9月比では4.4%増となり、このペースでは10-12月期も外需はGDPに対してマイナス寄与となります。

 

 コロナ規制で経済が不安定な中国向けはしばらく期待できないだけに、これをカバーするだけの仕向け地シフトが急がれます。