通貨当局を試す投機筋 | 経済あらかると

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 投機筋が円売りを躊躇する2つの「タガ」のうち、1つが外れ、日米金融政策対照性からついに1ドル145円台を付けました。98年以来24年ぶりの円安水準です。

 

 先週、日銀が為替市場で「レートチェック」を行ったことから、海外の投資家を中心に日銀の為替介入を警戒、ドル円は142円まで押し戻されました。投機筋からすると、日本の当局は為替介入に踏み切れるのか、次週の日銀決定会合で円安を止めるために緩和の修正が行われるのか、円売りをためらわせる2つの「タガ」がはまっていました。

 

 このうち、今日の日銀決定会合で、日銀はこれまでの大規模緩和を維持、引き続き金融緩和で経済を支えてゆく姿勢を確認しました。これで1つ、タガが外れました。日銀は依然として円安のために緩和を止める気はないことがわかりました。これでドル円は145円台を付けました。

 

 それで一気に円安が進むかと思いきや、財務省が「為替介入をスタンバイの状況」とくぎを刺しました。このため、投機筋の円売りに待ったがかかりました。そしてドル円が145円後半に進んだところで当局は介入を実施、ドル円は142円台まで戻しています。

 

 ドル売り介入は金融市場で資金のひっ迫、金利高を呼びます。これを日銀のYCCで吸収すると介入効果が減殺されます。為替をとるか、金利をとるか、改めて当局の判断が問われます。