礼を失する | 経済あらかると

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 これは如何なものか、と思わせる事案が2件続きました。1つは、大相撲をリードする横綱白鵬の行動です。行事審判は正当な立ち合いと見て「残った!!」と大きな声を発しましたが、白鵬が自ら「不成立」と判断し、力を抜いたために嘉風関に寄り切られ、敗れたのですが、納得せず、土俵下で不成立をアピール。さらに、嘉風が勝ち名乗りを受けた後も土俵に残り、ビデオ判定を求めるしぐさをし、弓取りが始まってようやく土俵から降りました。

 

 自ら待ったをせずに立ち、行事も審判も立ち合い成立とするなかで、いくら横綱とはいえ、1力士が自ら「物言い」をする権利はなく、ルール無視の行動は礼儀を重んじる相撲界では「失礼」の極みです。横綱が言い訳するのも見苦しい限りです。

 以前、日馬富士関も同様の負け方をしましたが、これほど不満をあらわにせずに引き下がりました。相撲の国際化は結構なことですが、相撲を通じた日本の心の継承が失われつつある昨今の相撲界に、一抹の寂しさを覚えます。

 

 もう1つが天皇退位の日程決めです。なんでも2019年4月30日に退位、という案が有力だそうです。年末でも年度末の3月末でもなく、4月30日に違和感を持ちました。識者の解説によると、なんでも統一地方選があるので、これを考慮した日程だそうです。これを聞いて椅子から落ちそうになりました。

 

 国の象徴たる天皇の退位、即位という重要な問題が、国民の生活風習、行事よりも選挙日程を優先考慮して決められる、というのに大きな違和感を覚えます。政治のおごりもここまで来たかと、唖然とします。天皇への礼を失したとも思わないのでしょうか。

 

 政界、角界をリードする立場の人間には、最低限の礼儀をわきまえていただきたいと思うこと自体、寂しさを覚えます。