フロリダを襲ったハリケーン「イルマ」の被害が想定より小さかったとして、保険会社の株が買い上げられ、全体の株価を押し上げました。
災害の経済的側面は、時間によってプラスの局面とマイナスの局面とがあることは前に示しましたが、今回の例は「予想対比」で被害が少ないということで、保険株が買われました。
この保険、世界的に大きな災害が増える中で、需要の拡大と、保険金の支払いが増える面と両方があります。従来の保険契約のまま、災害が増え、保険金支払いが増えれば保険会社の負担が増え、どうしても「再保険」が必要になります。
大雨洪水が各地で起こり、水害で家や車、家財が被害にあった例がたびたび報道されました。そして火災保険が水害の保証機能も果たしていることが紹介され、火災保険が見直されています。
また大きな地震が起こるたびに「地震保険」をかけているかどうかが大きな関心事となります。
米国のハリケーン被害の前に、日本でも各地で局地的豪雨の被害があり、イタリアのワイン産地、トスカーナも大雨洪水で大きな被害にあいました。
保険会社にとっては、需要の拡大が見込める半面、保険金の支払い事例も劇的に増えます。
住宅は相続税やオリンピックが刺激となって需要が高まりましたが、供給過剰になりかけたところに、地震や水害で家の建て替え需要が増えています。それも世界レベルで起きています。かつて地震に強い耐震住宅が売りとなりましたが、水に強い素材も今後は注目されます。
洪水でだめになった車も少なくありません。特に米国では水を被ってダメになった車の買い替えが大きくなり、自動車メーカーの株が上がりました。電気自動車が増えると、水害で「感電」事故が起きないか、気になります。
暴風で傘が大量に壊され、傘の買い替え、雨合羽需要が増えます。長い間水を被った地域では、衛生上の問題、病気が増え、医薬品の需要が増えます。衛生用品、簡易トイレも必需品です。米国では洪水で外出ができないこともあり、水が売り切れ、不足しました。
災害は不幸なことですが、これから立て直す過程で、それぞれに需要が発生します。保険会社以外にも、災害で注目される業種は少なくありません。