トランプ氏、外交は電撃電話会議 | 経済あらかると

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 トランプ大統領は次々と新たな武器を示し、就任後のロケット・スタートを見せています。最初にツイッター攻勢を見せた後、次に「大統領令」を連発、そして今度は電撃的な電話会議攻勢となりました。
 
 その一端が28日夜(日本時間)の電話よる首脳会談となりました。ここまで日本がTPPに拘ったため。トランプ氏からは全く相手にされず、電話もできなかったと言われますが、5カ国首脳との連続会談の一環とはいえ、急遽電話会談を持ちかけられたことは、安倍総理も安堵したと思われます。
 
 その表れか、当方からは大統領就任のお祝いと、その後の精力的な活動に対する賛辞が中心で、何とか2月10日の直接会談に持ち込めたことが唯一の成果でした。経済、安全保障での日米関係の重要性を訴えたと言われますが、安全保障については、「専門家のマティス国防長官を派遣するから、彼とよく相談するように」とかわされ、TPP、FTAについては全く触れませんでした。
 
 2月10日の会談には、麻生副総理、岸田外務、世耕経済産業各大臣を同行し、通商問題についても良く説明するとしていますが、トランプ大統領は確信犯的にWTO違反を犯し、自由貿易体制を壊す覚悟で動いているように見えます。その相手にいくら自由貿易の重要性を説明しても、はなから聞く耳を持たない可能性があります。
 
 TPPについても日本がしつこくこだわるので、米国はペンス、麻生で相談しろ、とあからさまに安倍総理との会談を拒否する動きも見せていました。今回電話会談にこぎつけたのも、総理がTPPをわきに置き、日米2国間協定もやぶさかでない、との立場を示したことが大きかったと見られます。
 
 相手が日本とは全く異なる価値観で動く大統領となってしまったことを理解して会談に臨まないと、後の2国間協定に為替条項が織り込まれるなど、とばっちりが及ぶ懸念もあります。さりとてトランプ氏の言いなりともいかず、うまいさじ加減がとれるかどうか。
 
 なお、その後のプーチン大統領との会談ではシリア問題、IS撲滅での協力が議論され、メルケル首相、オランド大統領には、米国がNATOをないがしろにしているわけではないことを説明した模様です。
 
 トランプ氏の電撃的な攻撃に、準備なくとも対応できる能力が求められます。与しやすしと思われると、次から次へと注文され、下手に抵抗すると、とことん敵視される、難しい相手との覚悟が必要です。