・・・ハグみじゅうたんの誕生秘話・・・
ちょっと長いですが、どうぞ最後までお付き合いください
「ハグみじゅうたん」が誕生した新潟。
長く地元に根付いた家具専門店 「イマイの家具」(2000年店名変更)
ハグみじゅうたんのルーツは、あるお客様との出逢い、そしてそのお客様のお言葉でした。
1997年の初春のある日、新入学の机を探しているお母さんから大切なお話しをお聞きしました。
『うちの子は二人とも小さい頃からアトピーで普通の新しい家具が使えません。
でも他の子どもたちと同じように、せっかくの一年生になる時にどうしても机を買ってあげたいのです。
安心して子どもに使わせることができる机をいろいろなところで探したけれど、どこにも見つかりません。』
インテリア業界に長くいたにも関わらず、はじめは『アトピー』と『家具』の関係がいまひとつ結びつきませんでした。
そんな時、家具業界の先輩から聞いた言葉を思い出しました。
『“育児用タンス”と“普通のタンス”の違いはなんだと思う?』
サイズの違い?
そうではありませんでした。
『育児用タンスは鋭い角がないことなどもあるけど、接着剤や塗料なども小さいお子さんの安全性に配慮したものが使われているんだよ』
接着剤や塗料・・・?
あるチェストの取扱説明書に
「整理たんす等に衣類や肌着、下着類を収納する場合は必ずポリ袋等にいれて収納してください」
と書かれていたことを思い出しました。そういえば、低価格の家具をたくさん置いている場所に行くと、目がチカチカする感覚を覚えたことがあったけれど、それも関係あるのかな?
それから、アトピーやアレルギーの原因についてとことん調べました。
住宅だけではなく家具に使われる塗装剤や接着剤には、健康に害をもたらすホルムアルデヒドなどの揮発性有機化合物などを含むものが一般的だということを知りました。
そうして、これまでの記憶や疑問に思っていたこと・・・
それらが突然、点と点が線で繋がるように理解できたのです。
ひとりの母親からお聞きしたお話から、この想いはスタートしました。
大切な家族のことを思って家具を選ぶ。
そんなお客様のお言葉を思い出しながら、ひとつひとつ考えました。
「なぜ?安心して使う事ができない家具がたくさん作られているのか?」
「なぜ?昔のようにお手入れしながら大切に使い、次の世代に受け継がれていくモノが減っているのか?」
「本当に心地よい空間ってどんなものだろう?」
「愛着を持って、永く使い続けることは家族にどんな変化をもたらすだろう?人にどんな影響があるのだろう?」
「なぜ?・・・ なぜ?・・・ なぜ?・・・」
たくさん 考えました。
答えはすぐには出なかったけれど・・・
次の年全国で初めて、お子さんの気を引きやすいキャラクター机を展示から外し
すべての学習机の展示をお子さんの健康に配慮した商品構成に変更しました。
材質や接着剤、塗装剤には健康に配慮したものだけを使用した学習デスクを展示したのです。
手間をかけてつくる家具は、その分価格が高くなります。
最初の1年、お客様は減りました。
ですが、
「安心して子どもに使わせることができます!」
というお客様の嬉しそうな笑顔。
私たちの選択は間違っていないと実感しました。
そして、少しずつですが
「安心して使える家具を探している」
「良い物を永く使いたい」
というお客様のご来店が増えていったのです。
1999年
店舗を「造り」「健康」「環境」を統一コンセプトに、『高級ではなく上質』を提案する
「インテリアショップ ボー・デコール」 としてリニューアルOPENしました。
どこで作られていて、誰がどんな風に造っているのか、
自分たちでできる限り確認して、商品の背景を伝えられる家具だけにしました。
そして、家具だけではなく、カーテンやじゅうたんも同じ思いでご紹介するようになっていったのです。
おかげさまで新潟本店はロハスインテリアの先駆けとして全国からお客さまにご来店いただき
今でも全国紙に取り上げていただいています。
同じ頃、私たちはペルシャ地方の手織りじゅうたん「ギャッベ」に出会いました。
遊牧民の女性たちが代々受け継いできた手織りの文化。
自由な感性で、家族の幸せを願い時間をかけて織りあげるじゅうたんは素朴な魅力と豊かな表情が溢れています。
自分たちの目で見て、その感性に触れ 「これだ!」 と販売を開始しました。
2000年頃から、シックハウス症候群が話題になり、健康や環境に配慮した商品への関心が高まってきた時期でした。
芸術性の高いじゅうたん「アートギャッベ®」として、これまで全国のたくさんの方にご紹介してきました。
そうした中で、やはりたくさんのお客様からお言葉をいただいたのです。
長い月日を費やして手結びで織り上げるギャッベは、決して誰もが気軽に使える価格ではありません。
そんなことから
「子どもたちにも安心して使える健康や環境に配慮したじゅうたん もう少し手の届く価格でありませんか?」
「なかなか気に入った色柄のじゅうたんが見つからない」
「無垢の床や漆喰の壁、こだわって建てた家に合わせられる自然素材のじゅうたんがなかなか見つからない」
そんな声を受けて、私たちは探しはじめました。
健康や環境に配慮したつくり、安心して使える自然素材のじゅうたん
日本の暮らしに合うじゅうたん
少しでも使いやすい価格の、普段使いできる上質なじゅうたん
そんなじゅうたんをずっと探していたのですが、
なかなか見つけることができませんでした。
それでも、お客様の気持ちにぴったりとくるじゅうたんをどうしても見つけたい。
2007年
普段使いのロハスなじゅうたんの構想は生まれました。
ないなら自分たちで作ってしまおう!という発想から。
何より、小さいお子さんやお年寄りがいらっしゃるご家庭で安心して使えるじゅうたんであることが一番重要です。
その上、日本の暮らしにあうもの、日本人の私たちの感性に響くじゅうたんであること・・・
構想は膨らみましたが、まずは生産してくれる工房を探すところからスタートです。
そして、ようやく見つけたいくつかの工房に試作品を依頼します。海外との協業生産によるじゅうたんの開発には、文化の違いという大きな壁がありました。
何度も現地に足を運び、思いを伝え続けましたが、日本の文化やクオリティはなかなか理解してもらえず、生産指導は困難を極めました。
何度も試作を重ね、時には100本制作し1本も基準に満たないということもありました。
ただ、妥協は許されません。
泣く泣く商品化を見送り、生産地とともに愚直により良いものづくりを目指しました。
また、多くの方々に受け入れられるには、デザインにも拘りが必要です。販売の現場で、お客様の声に触れながらひとつひとつかたちにしていきました。
そして価格も子育て世代が手の届くものでなければ・・・
全てが初めての経験で手探りの中、
本物のじゅうたんの開発は困難を極めました。
「もうこれ以上頑張っても、協業生産で日本人の求める品質を実現するなんて無理なのでは?」
資金は徐々に底をつきはじめ、途中で何度も「もうやめよう」と思いました。
それでもあきらめなかったのは、ある「思い」があったからです。
学習机を探しにきた母親の言葉。
子供たちに本当に安心・安全な家具を使ってもらいたいと思ったあの時の思い。
なぜじゅうたんを作ろうと思ったのだろう?
それは・・・
丁寧なモノづくり、人の手が作り出す「しごと」の素晴らしさを知ってもらいたい。
子どもたちに本物を知って、感じて、触れさせてあげたい。
そこから育まれるものはどんなにか大きいだろう・・・
そんなじゅうたんを日本の子どもたちに、
そしていつかは世界の子どもたちに届けることができたら・・・
考えるだけでもワクワクしました。
そんな未来をあきらめることはできませんでした。
そうして、様々な試行錯誤を経て、
ようやく全国でお客さまにお聞きした要望にお応えできる納得のいくじゅうたんができました。
手仕事の温もりと、日本の四季をイメージした色彩で、素材の特性を活かしたあたたかみのあるじゅうたんです。
色々なお客様の声を元に作ったので、
「これならきっと、お客様に喜んでいただける!」
そんな想いで胸が熱くなったのを覚えています。
2012年6月
新潟県のインテリアショップからスタートしたじゅうたんのプロジェクトは地道に成長し、
新たにじゅうたんの会社「COBLIN株式会社」を立ち上げ、
同年9月 『ハグみじゅうたん』 として発売を開始するまでになったのです。
■ ハグみ物語 「手しごとじゅうたんができるまで」
http://lohas-rug.com/story/