地域の造園屋さんとつながろう! 自然について楽しく学ぼう | 心と体と学びをはぐくむ園庭を

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幼稚園 保育所 認定こども園の園庭を、子どもが伸びやかに豊かな育つ場所にしませんか?

こんにちは、園庭研究所の石田です。

 

(前回から時間が空いてしまい失礼しました。全国の園の地域活用実態について論文提出中なのですが、審査者からの指摘点を修正してようやく提出できました。途中逃げたくもなりましたが、なんとか二次審査に向けて頑張り切れてホッとしています。通るかは分からないけれど。)

 

 

さて、前記事「地域の造園屋さんとつながろう!地域環境の理解」に続いて、今回は茨城県のKids Creationさんと園庭を計画施工されたニハソノさん(造園屋)のご関係についてご紹介したいと思います。

 

 

ニハソノ代表の守生さんは、とても自然や生き物に造詣が深い方です。そして人への愛も。^^

 

造園屋さんにも色んな方がいらっしゃいますが、やはり植物や自然を愛している方が圧倒的に多いです。

 

 

ソノさんは、Kids Creationさんと同じお地域にいらっしゃることもあり、他のお仕事の合間にさっと立ち寄って園庭環境の様子を確認したり、先生方の相談に乗って下さっています。

 

そして、子どもたちや先生に、その時々の虫や植物のことを教えてくださいます。

 

こうした、造園屋さんが時々見に来て下さる関係、子どもや先生へ自然のことを話して下さる関係が、園庭にとってはとても大切だと私は考えています。

 

 

園庭の全国調査でも、「園庭での保育で大切にしていること/実践していること」について複数の項目へ順位づけしてもらったところ、「自然の美しさや不思議さを感じることができる」は多くの園が「大切」に高順位を付けました。

 

ところが、「実践」では「自然の美しさや不思議さを感じることができる」は低順位でした。

 

詳しい資料は、CedepHPから発表資料をダウンロードしていただけます。→ 「保育・幼児教育施設の園庭に関する調査~子どもの育ちを支える豊かな園庭とは?~」(2017シンポジウム)

 

 

この調査結果からは、自然については、多くの園が子どもにとって大切だと考えている一方で、なかなか実践しにくい現状が見えてきます。

 

私自身も色々な園さんへ訪問させて頂きましたが、「子ども達に自然を」と願われながら、環境づくりや手入れの方法、どう繋いでいば良いの?と悩まれる先生がたくさんいらっしゃいました。

 

 

実際のところ、自然についてはたくさんの知識や経験が必要になります。

 

保育・教育に日々向き合われる中で、自然についても自力で学んでいくことは大変かと思います。

 

ですので、ニハソノさんのように、ちょっとした合間時間に立ち寄って相談に乗ったり教えて下さる方の存在が欠かせないと思います。

 

園庭に関わって下さった造園屋さんや、工務店の方、自然に詳しい地域の方など。

 

そして、前記事でも書きましたが、自然は地域地域で異なってくるため、やはりその地域や周辺にお住いの方がベストかと思います。さっと来て下さるという点でも。^^

 

 

Kis Creationさんでは、守生さん(ニハソノ)と、『散歩で出会うみちくさ入門』著者の佐々木和幸さん(造園屋)による、親子向け園庭の草花や虫の観察会「草花とどうやって遊ぶ?園庭すみずみ探検」を開催されたりと、造園家さんと組んで、園のご家族や先生が園庭の自然を楽しめるようなイベントも開催されています。

 

園庭に訪れている虫を吸虫管で採取して、親子さんたちに見せてお話下さる守生さん。

 

親子で園庭びいろんな生き物を探されています。

 

ワークシートを用いて、園庭の自然を五感で感じてみたよ!

 

子どもたちにとって最も身近な場所である園庭で、みんなで一緒に楽しんだり学べる機会って良いですよね。

 

各園で、地域の造園屋さんや自然に詳しい方とこんな関係を築いていけると良いなぁと思います。

 

 

ただし、「自然についてはたくさんの知識や経験が必要になります」とは書きましたが、自然については、先生が多くのことを知っている必要は必ずしもない、と私は考えています。

 

何より大切なのは、子どもや先生自身が「不思議だな。何だろう?」と思った時、子どもと一緒に調べること。

 

つまり、知りたいこと・分からないことが生まれた時に、図鑑を調べたり詳しい人に聞いたりする経験こそが、子どもにとっては大切な学びや育ちに繋がっていくかなと思います。

 

ですので、自然の知識を持たないととプレッシャーを感じずに、「子どもと一緒に楽しみながら学んでいこう!分からない時は地域の詳しい方に相談してみよう!」と気楽に捉えていただければと思います。^^

 

 

ちなみに、地域の中でどうやって、園に合う造園屋さんを探せば良いか?といったご質問を受けることがあります。

 

ここが難しいところではあるのですが、まずは園職員や保護者さんたちに、知り合いの造園屋さんがいないか尋ねられると良いかと思います。

 

私がこれまで訪問させていただいた園でも、保護者からの紹介で地域の造園屋さんにつながられた園がいくつもありました。

 

保護者さん自身が造園屋さんで、保育者や他の保護者さんと一緒に園庭づくりを楽しまれている園もあります。

 

 

それから、地域のおうちのお庭を見て良いなと思うお庭があったら、ぜひ施工者さんを聞いて見てください。造園屋さんの事務所の庭を見る、というのもおすすめです。^^

 

一社にピンと来なくても、あと1-2社は相談してみられても大丈夫です。(家庭のお庭もそうなので。)

 

そして何より大切なのが、「園と一緒に話し合って園庭環境を考えてくださる方かどうか」かと思います。

 

先日の記事に書きましたが、子どもたちの育ちのプロは、園の先生方です。造園屋さんは、植栽や自然、施工のプロであり、子どものプロではありません。

 

日々の子どもの様子を見ながら「こんな環境があったら良いな」と考える先生方視点こそが、園庭での子どもたちの育ちを豊かにしてくれます。

 

ぜひ、自然や施工のプロである造園屋さん(工務店さん)、子どもたち、そして子どものプロである先生方(保護者さんも)とで、楽しみながら園庭を育てていってくださいね。^^

 

 

園庭研究所 代表 石田佳織

お問い合わせ: 電話:080-2381-8611  /  メールを送る

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投稿・交流サイト→ Facebookグループ「園庭・地域環境での保育 交流グループ

 

 

【園庭や幼児と自然のについての著書】

『園庭を豊かな育ちの場に:質向上のためのヒントと事例』

園庭園庭全国調査に基づいて、園庭での保育・教育の質をより高めるための視点や工夫をご紹介しています。面積が小さな園や制約がある園での工夫や、地域活用の工夫もご覧いただけます。

* 2019こども環境学会賞【論文・著作賞】を頂きました。

 

『森と自然を活用した保育・幼児教育ガイドブック』

石田は以下を担当させていただきました。→第1章5「幼稚園施設整備指針と園庭調査を踏まえた屋外環境のあり方と自然」東京大学Cedep園庭調査研究グループ/第1章8「幼稚園教育要領等の5領域に合わせた先行研究」北澤明子, 木戸啓絵, 山口美和, 石田佳織

 

『保育内容 環境 第3版』

石田は第6章4節「自然環境と持続可能な社会」を担当させていただきました。