子どもの体験は、その後の人生へどのように影響するのか?1 | 心と体と学びをはぐくむ園庭を

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こんにちは。園庭研究所の石田です。

『子どもの体験活動の実態に関する調査研究 ー子どもの頃の体験は、その後の人生に影響するー』の国立青少年教育振興機構、明石要一さんら(2000)の研究をご紹介したいと思います。(以下の表は、こちらの報告書で掲載されているものです。)

 

20~60代の成人と、小学高学年~高校生までの青少年に対して、

・「子どもの頃の体験」として、自然体験・動植物との関わり・友達との遊び・地域活動・家族行事・家事手伝い、について

・現在の「体験の力」として、自尊感情・共生感・意欲関心・規範意識・職業意識・人間関係能力・文化的作法、について

調査が行われ、以下のような結果が示されました。

 

下の表は、「子どもの頃の体験」と現在の「体験の力」についての質問項目です。

 

<成人調査結果より>

大人になってからの「体験の力」と、「子どもの頃の体験」との関係性については、以下のような結果が示されています。

・「子どもの頃の体験」が豊富な大人ほど、大人になってからの「体験の力」が高い。

・小学校低学年までは、「友達との遊び」「動植物とのかかわり」が、大人になってからの「体験の力」とより関係している。

・小学校高学年から中学生までは、「地域活動」「家族行事」「家事手伝い」が、大人になってからの「体験の力」とより関係している。

この結果を受けて研究者らは、「‘体験’はいつでも効果的とは限らない。子どもの成長に合わせた‘体験活動’がある」とし、「この知見を踏まえた体験活動の提供が求められる」と述べられています。

 

また、大人になった時の社会的地位(最終学歴・収入)と、「子どもの頃の体験」との関係性については、以下のような結果が示されています。

・「海や川で貝を採ったり、魚を釣ったりした」「海や川で泳いだ」「米や野菜などを栽培した」「チョウやトンボ、バッタなどの昆虫をつかまえた」という積極的な自然体験が多いほど、最終学歴が高い。

・「弱いものいじめやケンカを注意した」「かくれんぼや缶蹴りをした」「地域清掃に参加した」「家族で家の大掃除をした」「家族の誕生日を祝った」等の体験が多いほど、最終学歴が高い。

・青少年施設や社会教育施設を利用した、お稽古や習い事をした、という体験多いほど、収入が多い。こうした積極的な体験に加えて、おしくらまんじゅうのような遊び体験、地域の人に叱られたり地域掃除に参加したという地域との関わり等も関係している。

 

大人になった時の社会生活と「子どもの頃の体験」との関係性については、

「子どもの頃の体験」が多いほど、

・結婚している割合が多く、子どもを2人以上持っている。

・1ヶ月に読む本の冊数が多い。

 

<青少年調査結果より>

青少年調査でも、成人調査とほぼ同じ結果となった。

 

具体的には、

幼少期から中学生期までの体験の多い少ないは、高校生の「体験の力」に関係している。

・体験が多い子どもほど、本を読んでおり、コンピューターゲームやテレビゲーム遊びが少ない。

・「自然体験」「動植物との関わり」「友達との遊び」は、高校生と比べると、中学生の方が少ない。しかし、「家族行事」では高校生より中学生の方が多く体験している。

 

下の表は、「体験の力」と関係が見られた体験を、年齢期別に見た結果です。

 

(続きます。)

 

園庭研究所 代表 石田佳織

 

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