幼児の好きな遊び場1 〜幼児の内面の声に耳を傾けよう〜 | 心と体と学びをはぐくむ園庭を

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こんにちは。園庭研究所の石田です。
『幼児の遊び場の認識:幼児による写真投影法を用いて』宮本雄太さんら(東京大学)の研究をご紹介します。

こちらの研究では幼児に、通園施設内の「好きな遊び場」を各自写真撮影してもらい、その写真を元に、場所の名称と好きな理由や遊びの内容等についてインタビューが実施されました。
つまり、幼児の声そのものなんですね。


幼児の好きな場をカテゴリー化し、それらの場についての幼児の回答を分析検討し考察したところ、以下3つが明らかになりました。
 

①常にそこにあること、常に行えること:保育環境が常にそこにあること、道具や素材が常に所定の場所に置かれていること、制作物が常に同じ場に飾られていること。
②めまいの感覚への志向性:身体がゆさぶられると同時に視界や知覚が揺らぐ感覚。
③環境構造の高低差への選好性:視点の位置をずらすことができる。環境構造に高低差があり、それが子どもにも視覚化され、高低差を認識できるような遊び場。


①「常にそこにあること、常に行えること」について研究者の方は、「幼児が何かをやりたいと思った時に、固定遊具や道具、素材などが「常にそこにあること」は遊びに安心・安定感を与える重要な要素になり、変わらないであることの意義が語られた」と述べられています。

*** 石田より ***
常にそこにあることが、子どもにとっての安心・安定感となるんですね。(これは「そこにあること」の大切さを示すものであって、環境を改変してはいけない、という意味合いではないです。)

体がゆさぶられたり視界が揺らぐような「めまい」や「高低差」のある環境については、かつての子どもたちが地域の中でどのような遊びをしてきたかの研究でも示されています。(参照:仙田満さん『子どもと遊び』岩波新書)

 

昔から子どもたちが好んできた「めまい」や「高低差」のある環境は、現在の幼児にとっても好きな場所なんですね。

また、幼児の遊ぶ様子の観察から遊び環境を分析されたこちらの研究でも、凸凹のある地面や斜面、レベル差のある環境を子どもが好むことが示されています。→ 子どもが遊びたくなる環境とは?, 年齢によって求める環境が異なる?

園庭でも室内でも、子どもたちが「ここが好き」「あそこに行けばあれができる」と思える環境をつくっていきたいですね。^^

(続きます)

園庭研究所 代表 石田佳織

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