こんにちは。園庭研究所の石田です。
『保育本来の遊びが障害のある子どもにもたらす意義 -「障害特性論に基づく遊び」の批判的検討から -』松井剛太 氏のご研究の続きです。
当ご研究での一事例を、以下にそのままご紹介したいと思います。
【事例1. クラスの子どもたちと遊び】
<内容>
3、4歳児の4名のクラス(自閉症1名、広汎性発達障害1名、知的障害2名で実践された。
「運動遊び:ぶどう狩りに行こう」という活動で、運動課題に楽しく取り組むことを目標とした。
子どもたちはスタート地点を出た後、平均台や段差のあるカラーボックスを歩く。
壁にかかった「ぶどう」(画用紙でつくられたもの)をとって、動物の口に入れるとい う活動であった。
子どもの生活経験を踏まえて、子どもたちの大好きな「ぶどう」を題材とした。
子どもたちの大好きな「ぶどう」を題材とした。
<エピソード>
「ぶどう狩りに行こう」を決まった順番で一定時間やり終えた後、終わりのあいさつを した。
そのあいさつの直後、4歳のA児はすぐに順路のカラーボックスに上がり一言。「さあ、今から遊ぶぞ」と言った。
その後、A児は順路にある積み木をジグザグに渡ったり、ひとつ飛ばして渡ったり、積み木と積み木の感覚を変化させたり、自由に楽しんでいた。
<教師の振り返り>
運動遊びということで、子ども一人ひとりの運動課題について目標を設定した。
そのため、運動課題の目標を達成させることに重きを置いてしまい、子どもの活動を中断させたり、やり直しをさせたりしてまで指導してしまう、ということがあった。
A児の一言は、私たちの遊びに対する姿勢を言い当てていた。
今後自戒の言葉として胸にしまっておきたい。
(石田より)
上の事例を読まれて、どうでしたか?
「うっ」と胸が痛んだ方、結構いらっしゃるのではないでしょうか?
上の先生に限らず、私たち大人は、「遊ばせよう」とついつい大人主導の活動を提供してしまっていることがあるのではないでしょうか?
私も常々、このA君からのメッセージや先生の振り返りを思い出し、子ども自身から生まれるものへ目を向けていきたいと思います。^^
(もちろん、大人から投げかける活動が一概に悪いのではありません。子どもの運動能力の発達と保育形態との関わりの研究では、自由保育や一斉保育に比べて、自由/一斉が半々の保育において最も運動能力が向上することが示されています。→ 自由保育?一斉保育?幼児期に運動能力を高める活動とは?)
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