園庭に落ちている‘枝’も、大切な学びの素材 1 | 心と体と学びをはぐくむ園庭を

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こんにちは。園庭研究所の石田です。


‘枝’一本でも、子どもにとっては、とても大切な学びの素材になります。

このことを検証した研究をご紹介したいと思います。


『なぜ幼児は「森のようちえん」で枝を拾うのか ー幼児の行動記録を手がかりにー』梶浦恭子さん(岐阜女子大学)、今村光章さん(岐阜大学)のご研究です。


梶浦さんらは、幼児の行動について具体的な行動記録の作成され、幼児が枝を持つシーンでは随時カメラ撮影をし幼児の行動を分析し、研究を進められました。



その結果…

枝に触れながら、「受容」→「探索」→遊びや動きの「発祥」→「創造」の流れで体験して行くことが分かりました。



詳しく見ていくと…。

1)「受容」「探索」

幼児は、背丈より長い枝, 分岐した枝, 曲がった枝, 樹皮に凹凸がある枝, 両手で引っぱり出さないといけないような重い枝など、様々な枝を手に取っていた。

軽さ, 材質, 屈折した形状といった枝そのものの特徴を受容しながら、あれこれと手を動かして試していた。


このように、多様な枝をとりかえて試行錯誤する動きをするは、枝の特徴を手という感覚器官で「受容」し、

触れて、感じ、枝の本質を知ろうとする「探索」行為を繰り返していると考えられる。



調査では、枝を握ったり両手で持ったり抱えたり、唇に引き寄せる様子が観察された。



2)「発祥」「創造」

幼児は、枝を握って、枝を重ねたり振るなど、応答性を持った枝の特徴にふさわしい応答性をもった動きをしていた。

2本の枝を持って振ると、枝の動きが幼児の想像をかきたて、現実にある文字や生きものの形に見立られ、創造遊びが展開されて行った。

このように、枝は遊びの「発祥」点となる役割を果たし、幼児の「創造力」を高める可能性を秘めていると考えられる。


調査では、2本の枝から、バツ(×)の形になることに気付いたり、クワガタの顎を真似たり、‘くの字’を作る様子が観察された。



3)「玩具」

さらに幼児は、枝を、遊びを成立させるのに必要な一道具として見立て、それを「玩具」として用いた。

そして、幼児の身体や手において、遊びの内容にふさわしい動きが徐々に表現されて行った。

つまり、枝を玩具として使い、身(手)のこなしが上手くなって、身体知が発達して行くと考えられる。


また、ある子が枝を持って遊んでいると、別の子どもが振り返り近づいてくるなど、枝が仲間とかかわりを持つ契機となる道具とも考えられる。


調査では、枝葉を上下に振るうちに、釣り竿に見立てて遊ぶ様子が観察された。




では、次の記事でまとめますね。^^


園庭研究所 代表 石田佳織

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