尿もれ対策 前立腺全摘術後2ヶ月 | はぎのつゆのブログ

はぎのつゆのブログ

少しガタがき始めた医者です。コロナも過ぎて世の中がこれから、という頃、私自身大変な戦いに臨んでおります。ま、これも運命でしょう。でも、今の自分にできることは何か?と日々考えながら生きるように努力しているつもりです。

 

尿もれ対策 前立腺全摘術後2ヶ月

 

ダヴィンチ手術で前立腺全摘+骨盤底部覚醒術を行っていただいて術後2ヶ月が経過しました。

 

術後初期は結構辛かったのですが、徐々に「日にち薬」で少しずつ楽になってきています。当然ですが、まだまだ身体全体は「もとどおり」にはなっていません。

 

当初、骨盤底部や陰茎部奥の痛みや違和感が結構辛ったのですがこれはだいぶ楽になりました。

 

皮膚の傷もかなり癒えてきました。術後1ヶ月の時点ではまだまだ傷痛みが強くて、傷の表面からは壊死分泌物が少しずつ出てシャツを汚してしまっていました。術後2ヶ月の現在、さすがにこれは良くなりました。傷は奥の方まで小さな塊のようになって残っています。それを上からおさえて多少違和感がある程度です。術後早期には「腹筋」がかなり痛かったのですが、これもおよそ落ち着いた感じです。

 

 

さて肝心の「尿もれ」ですが、さすがにこれは続いております。尿もれパッドはいまだ外せません。というか、これ、本当に外せる日が来るのかどうか疑問です。きっと手術が上手だったのでしょう、術後早期から尿もれは比較的少なく、主治医も驚いておられました。でもいまだ尿もれは続いています。尿とりパッドは生活必需品。パンツの中に尿とりパッドを入れて過ごす毎日です。

 

尿もれの総量自体は徐々に減ってきています。退院直後は半分に切った成人用尿とりパッドを1日3−4枚くらいは交換していましたが、今は1日1枚で乗り切れています。

 

ちなみに入院中「ちゃんと尿量ともれの量を測定してくださいね」と看護婦さんに言われたんですが、「不良医者」のわたしは退院後これを測ったことがありません。

 

 

日常の業務を終えて帰宅した頃には尿とりパッドは幾分か重くなって、臭ってみるとわずかに臭います。でも臭いはそこまで強くはないようです。ひょっとすると周りの人は気づいているのかもしれませんが。周りの迷惑顧みず???ってところでしょうか。

 

 

 

尿もれ改善には1にも2にも

 

骨盤底体操

 

とされています。これは入院中に指導書を以て看護婦さんに指導されました。退院前には、日頃あまり口数の多くない主治医もそのように言ってました。実際、ネットで調べてみてもAIのBirdやChatGPTに聞いてみてもそのように答えます。

 

 

 

そうそう話が少し外れしますが術後は長時間座位を避けてください」と指導書に書かれていました。ネットで調べてもBardに聞いてもそのように答えます。長時間の座位はさけるべきなんしょう‥。

 

陰茎付け根の奥に膀胱と尿道の吻合部があって長時間座位をするとそこを圧迫して血流が悪くなるというような理屈のようです。しかしこれをきちんと守ると、日常診察や病棟回診後のカルテ入力など日常業務がちょっとやりにくいです。仕事は一体どうすればいいの???これは困った。

 

 

いろいろ調べてみますとそのような記載は「看護の指導」や「Bard」などでは出てくるのですが、どうもその出典が明瞭ではありません。ネット上の医師の記載もみあたりません。

 

業務の関係もあってこれに納得できなかった私は、術後1ヶ月の受診の際これについて思い切って主治医に聞いてみました。そうしたら、

 

別にそこまで気にしなくていいですよ。よほど長時間でなければ問題ないですよ。

 

と、あっさり半分否定。ネットや看護婦さんの指導書などでは1時間以上はいけませんなどと厳しく書かれていますが、これ、ちょっと怪しいようです。

 

ただ、術後の比較的早期は長く座っていると確かに会陰部周辺の違和感と痛みが強くなりました。そのため最初は医局にある自分の椅子を他の座りやすそうなものに勝手にかえてみたり、座布団や円座を使ってみたり、ゼリー状のマット座布団を敷いてみたりといろいろやりました。

 

そうこうしているうちに痛みなどが楽になってきて、いまは高級ではない職場の椅子の座面にゼリー状座布団を乗せ、椅子自体は以前からのものをそのまま使っています。違和感や痛みなどは術後2ヶ月の時点では長時間座っていてもほとんど感じなくなりました。

 

結局、痛みや違和感に気を遣っていればよほど長時間でなければ術後の座位は問題ないようです。

 

実際、膀胱尿道吻合部に縫合不全は起こしませんでしたし、排尿時の違和感や吻合部の狭窄症状もありません。術後の座位はそこそこ可能だと思います。ただし、陰部の痛みや違和感が強くなるようなら座位は控えて立位となるか横になるのがいいでしょう。

 

 

 

話が逸れてしまいました。尿もれに戻します。

 

 

術後2ヶ月の現時点で半分に切った尿とりパッドを1日1枚くらい使っています。ただしこれにはいくつか条件があります。

 

問題は運動です。

 

術後1ヶ月頃からウォーキングを再開しました。当初はウォーキングすると見事に尿もれしました!ウォーキング後に尿とりパッドを交換しなければならない状態でした。

 

そのままがんばってウォーキングを続けておりますと、術後2ヶ月、これが減ってきたようです。しかし安静にしている時よりは明らかに多いです。あまり活動しない時、あるいは夜寝ている時などはほとんど尿はもれません。就寝中に尿がもれてパッドを交換しなければならないことは実際これまで経験したことがありません。その点は安心していいと思います。

 

先日、ウォーキングの途中ちょっと小走りすることがありました。そしたら結構多くもれました。身体の動きが激しい時は尿もれが多くなります

 

現状このような様子ですが、これらも徐々に改善してくれるものと願っております。

 

 

 

 

骨盤底筋体操の一環として退院後、結構気にして陰茎付け根のあたりの入力運動をしておりましたが、今はあんまりしていません。身体を動かしはじめるときにひょっともれるので、そういった動作の前に気をつけて陰茎部奥の力を入れるようにしています。

 

尿もれが骨盤底体操によって改善するということですが、実際には膀胱尿道吻合部の「平滑筋性尿道括約筋」の状態とその機能の回復が大きな要素に感じられます。尿もれ改善のために術後の時間経過を待つことはこの要素の回復のためではないでしょうか。

 

術後の尿もれに大切なのは

#1、手術時、平滑筋性尿道括約筋の温存技術

#2、時間経過による平滑筋性尿道括約筋の状態と機能

#3、意識して締める横紋筋性外尿道括約筋の強化

 

のように感じます。

 

 

実は私、昔から行っていることがあります。

 

ここ20年間以上、フルスクワットをほぼ毎朝行ってきました。もしかするとこれが大きく影響しているかもしれません。術後は1ヶ月頃から徐々にスクワットを再開しました。

 

 

調べてみますと骨盤底筋を鍛えるためには足の裏、特にかかとをつけたまま行うのがいいらしいです。以前わたしはかかとを上げてスクワットを行っておりましたが、いまは骨盤底筋を意識してかかとをつけるべくお尻を突き出すような感じでフルスクワットを行っています。

 

長くなりましたが術後2ヶ月の現在、陰茎付け根あたりの持続的な入力をさほど意識せず生活できるようになってきました。とはいっても尿トリバッドは生活必需品です。尿とりパッドを外して生活できる日が訪れることを願ってやみません。

 

 

2024/1/19