「銭形平次捕物控 五つの壺(七)(八)」野村胡堂 | ゆづき24時 2nd

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朗読「銭形平次」

五つの壺 、YouTubeちゃんねるにUPしましたー。

雑談等々は最終回です。

 

「銭形平次捕物控 五つの壺 」

 
それから七日經つた朝、
加納屋を見張らせて居た八五郎は、
三度目の『大變』を持ち込んで來たのです。
「又一人やられましたよ、親分。あの福井町の加納屋で」

 

 

てんとうむし

 

 
さて、今回はですね、
瓶に入ったお金がどこかに隠されている話
 
お話のタイトルは
「五つの壺」だったのですが、
「壺」という言葉が出てきたのはタイトルだけで
本文中はずっと「瓶(かめ)」でしたね…
 
各出版社から出ている銭形平次全集的なもの、
(傑作選ではなくて全話載ってるもの)
各話に通し番号的なのがついてて
だいたい共通なんですが
(時々順番が微妙に違ってるのもある?)
今回のが「224 五つの壺」
そのひとつ前の話が「223 三つの菓子」
 
なんかこの
「〇〇(いくつ)の●●」
みたいなタイトルが二つ続いてるのが印象的で
以前、電子書籍の挿絵を描いてたときも
もうそのまま
壺を五つと、お菓子を三つ
描いたりしたものですよ。
 
瓶が五つ掘り出される場面で
電子書籍の方に描いた絵を再現しようと思ったんですけど
何度挑戦しても
なんかうまくその時みたいな感じが出ない…
ので、掘り出されて開封された後の場面に
その時の絵をまま使っています。
サムネイルにも。加工してあるけれども。
 
 
 
 
最初に
八五郎が加納屋の事情を話した際、
 
「瓶と一口に言つても、鐵漿瓶から水瓶、
梅干瓶から、司馬温公の碎いた水瓶まであるぜ」
 
と平次が言っていて
「司馬温公の碎いた水瓶」ってなんだ?
と思ったわけですが
 
司馬温公(司馬光)
中国北宋時代の政治家、儒学者?
 
子供の頃、友達と遊んでいたところ
ひとりの友達が水瓶に落ちて溺れかけ、
他の子たちがなにもできないでいる中、
司馬光は怒られるのもかえりみず高価な瓶を割って
友達を助けた。
 
というお話みたいです。
(司馬光は怒られるどころか褒められた)
 
 
てんとうむし

 

 

 

さて、そろそろ

注意ネタバレ的な話も含みますが

 

 

加納屋に隠されているという

瓶(かめ) 五~六杯の金

 

隠された場所は、主人の五郎次しか知らない。

 

が、最近、その金を狙って

縁側や土蔵の土台下を掘り荒らす者がある。

 

…というのが

年配の番頭・忠吉が八五郎に話した話。

 

 

瓶五~六杯の金…

「瓶一個に三千~五千両入るとして…」

と八五郎は想像しますが、

 

千両が5000万~1億円としたら

三千両なら1億5000千万~3億、

五千両は2億5000万~5億、

ということは、最大で30億円

どうも想像もつかないなあ。

 

本文にも

「銀行も金庫も、株券も手形もなかつた時代に、

金がどうして蓄へられたか、」

とか

「大部分は本人或は子孫に取り出され、

再び流通貨幣の役目に就いたにしても、

その幾部分かは、いろ/\の原因で隱したまゝ忘れられ、

後の世の人の好奇心と欲望をそゝつたことも想像される」

とか

「戰亂や盜難を避けて大地の底に埋められ、

そのまゝ忘れてしまつた額も、決して少ない筈はなく、

大袈裟に言へば、

我々の踏んでゐる大地の下には、

思ひも寄らぬ巨額の金銀貨が埋藏されてゐることもあり得る」

 

とか。

なんとなく思い出すのは「徳川埋蔵金」とかですね。

あんまり詳しく知らないけれど、

徳川埋蔵金はホントにあるのか? ないのか?

とかよく見かけますね。

ウィキペディアさんを見たら、

「徳川埋蔵金」って360万~400万両

3000億円くらいと言われてるんですってね。

それこそ想像もできないなあ。

 

そう言われると、確かに夢が広がります。

徳川埋蔵金には及びませんけど

加納屋から30億出るかもしれない、と思ったら

結構わくわくするお話なんだなあと

あらためて思ったりする。

 

 

しかし

夜、不審な物音を聞いて外に出た

若い番頭の香之助

一度目は殴られ、

その何日か後にはやはり庭で殺されて、

 

その後も、

今度は主人の五郎次が剃刀で殺されるという

事件が続きます。

 

 

家の者の話を聞いていくうちに

主人の五郎次には

勘当された跡取り息子、練太郎というのが

女房のお綾と一緒に本所辺りに住んでいることがわかります。

 

主人の五郎次は、ケチで貯める一方

しかし、息子の練太郎は使う一方だというから

なるほどねー、あやしさ満点。

 

さて、加納屋の埋蔵金を狙っているのは

息子の練太郎なのか?

 

 

 

さらに、

三輪の万七親分が、

埋蔵金を巡る仲間割れで香之助を殴ったと疑い

練太郎夫婦を縛っていきますが、

万七が練太郎夫婦を連れていったのは夕方

しかし、香之助が殺されたのはその日の夜だから、

練太郎の殺人(殴った時点では未遂、傷害罪?)の

疑いは晴れる。

 

で、事件は主人の五郎次殺し、と発展していくのですが――

 

 

これはよく考えると

なかなか複雑な仕立てですねー。

 

香之助殺し(と未遂)の犯人、

五郎次殺しの犯人、

 

実はそれぞれ違うわけです。

 

 

 

そして最初に疑われた総領の練太郎

金遣いが荒くて

主人に反対された結婚して

主人とは仲たがいをして――

 

 

しかし、主人と仲たがいをした本当の理由

埋蔵金に対する練太郎の考え

お話が進むにつれて明らかになっていく真実

 

その辺がおもしろいところです。

 

 

てんとうむし

 

 

「お前に見張らせて居た娘は?」
「逃げてしまひましたよ」

 

「親分の言ひつけ振りは、

不斷にもない、恐ろしく念入りでしたよ――

あの謎が解けなきや、あつしは錢形の子分と言へねえ」

 

 

 

鼻歌を歌いながら去っていく八五郎。

ラストシーンもおもしろかったですね。

 

 

 

ご視聴ありがとうございました!虹

 

 

 

てんとうむし

 

 

 

 

(七)

【両国】 りょうごく
東京都中央区・墨田区の両国橋周辺一帯。
また、墨田区の町名のひとつ。
 

【四半刻】 しはんとき
約30分。

五郎次に言いつけられたお組が

湯を沸かしなおしてもう一度持ってくるまでの時間、

30分も経っておりません。

 

(八)

【半刻】 はんとき
約一時間。

瓶が埋められている場所がわかってから、

みんなで、1時間ほどで瓶を掘り出してしまいました。

 

【千両】 せんりょう
一両 = 現代の5~10万円とすると、
5,000万~1億円くらい。
第五の瓶には小判と小粒取り交ぜて…
えっ!5000万から1億も!? Σ(゚Д゚)

 

 

 

 

 

 
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