朗読「銭形平次」
「影法師」、YouTubeで朗読を公開いたしました。
柳町へ行つたのは、もう晝を過ぎてをりました。
菊屋といふのは、店構は至つて小さいしもたや暮しですが、
住居の方は全く宏大極まるもので、
ケチな大名の下屋敷ほどもあり、
それを巧みにカムフラージユして、
お上の眼に觸れないやうな贅澤振りは、
人を喰つたその頃の町人の増長です。
菊屋といふのは、店構は至つて小さいしもたや暮しですが、
住居の方は全く宏大極まるもので、
ケチな大名の下屋敷ほどもあり、
それを巧みにカムフラージユして、
お上の眼に觸れないやうな贅澤振りは、
人を喰つたその頃の町人の増長です。
さて、いつもより少し長い(いや、倍はあるかな?)
お話だけに、わりと凝った展開かも。
主人の殺された二階の様子、
図にした方がわかりやすいかと思って描いてみましたが、
合ってるかな…
梯子をあがって
主人の部屋は中ほどで…
二階の部屋は、居間、次の間、納戸の三つだというから
こういうことになると思うけど…
廊下は表と裏、
裏が北側の狭い廊下…ということだから
店へ続く表の廊下はきっと南側。
平次たちが梯子をあがって出た廊下は
四尺の廊下… だから
だいたい横幅が1.2メートルの廊下ということかな、
わりと広い。
専門家の方のようにはわからないので
ざっとですけど。
主人の市十郎と妾のお袖が
主人の部屋(居間)で呑んでいて、
お袖がお勝手へ続く梯子で階下へ降りたとき、
曲者が店から続く表の階段であがってきたということでしょうね。
青空文庫のテキストでは
「表の樣子は店の方に連なり、」
とあって、おや?と思ったのですが、
同じく「影法師」が出ている双葉文庫の方では
「表の梯子は」
となっていたので
朗読の方は「表の梯子」で読んでいます。
次回につづく!
(三)
【四尺】 よんしゃく
一尺は約30.303Cmなので、約120Cm。
【書院造】 しょいんづくり
日本の住宅の様式のひとつ。
書斎を兼ねた居間を住宅の中心にした住宅の造り。
【二尺五寸】 にしゃくごすん
一尺が約30.303Cm、 一寸が約3.03Cmなので
二尺五寸は約75.756Cm。
【百目蝋燭】 ひゃくめろうそく
1本の重さが約100匁(375g)の大きな蝋燭。
(四)
【番頭】 ばんとう
江戸時代の商家の役職のひとつ。
番頭は、商家で、使用人の内で最高の地位にあるもの。
10歳前後で小僧として住み込んで、→ 手代 → 番頭 となる。
【法印】 ほういん
この場合、山伏、祈祷師などのこと。
【島田髷】 しまだまげ
日本髪の一種。
町娘などにも大流行し、未婚女性の髪型の定番に。