カミーノの特別ではない一日・前編【スペイン巡礼日記 #13】 | ハゲとめがねのランデヴー!!

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『深夜特急』にあこがれる妻(めがね)と、「肉食べたい」が口ぐせの夫(ハゲ)。
バックパックをかついで歩く、節約世界旅行の日常の記録。

 

丘をいくつも越える日々

 

巡礼20日目、コミージャスという町のアルベルゲを出たわれわれは、まず巡礼ルート近くにあるガウディの設計した「エル・カプリチョ」という建物を見に行った。

 

塀に遮られて上部が少し見えるだけだったが、チューリップのような形の塔の先端が見えた。

満足だ。

 

《フランス人の道》でもガウディ建築は見られるし、バルセロナに行けばもっと見られるが、この《北の道》でも出会えたのがうれしい。

なんだかんだいってガウディが作る、植物をうねうねさせたようなユニークな建築は見ていて楽しいのだ。

 

町を出ると、そこからは細かなアップダウンの道。

いくつもいくつも丘を越える。

 

バスクを出て以来道はおおむね平坦であるが、低い丘を毎日ちまちまと越えている。

この日も海を右手に見ながらちまちま登り、登った分を下り、湾の向こうに町が見えた。

 

サン・ビセンテ・デ・ラ・バルケア。

雪山を背景に見えたその町に橋を渡ってたどり着く。

 

カミーノの道をそれて観光案内所へ。

巡礼手帳にスタンプをもらい、生ハムとヤギのチーズのボカディージョ(サンドイッチ)を海を見ながら食べる。

 

わたしはスタンプラリーがたいへん好きであり、スタンプが手帳にたまっていくのを見ると非常によい気分になる。

この町の観光案内所のスタンプは、市の紋章なのか船の形をしていて美しく、わざわざ立ち寄ったかいがあったときらめく湾を見ながら思った。

 

その後喫茶店で休憩し、坂をのぼり、牛を見、線路をわたり、丘の中の道を進む。

左ひざの痛みはおおかたとれ、先日買った杖のリズムもいい感じ。

 

このまま目的地の町に到着かと思いきや、老朽化した木の橋を渡るとバスク以来初めての急な長い上り坂。

息切れをしてやっと頂上へ辿り着くと、海も雪山も見える大パノラマで今日のクライマックス間違いなし。

 

夫はバックパックをおろし、ケータイのタイマーをセットして写真を撮ろうと言い出した。

カミーノ始まって以来の自撮り写真である。

 

そして丘を下り、予約していたセルディオのホテルにチェックイン。

 

丘のふもとののどかな町の小さなホテル。

窓からは牛や羊につけている鈴の音が、カラカラ、カラカラと聴こえてくる。

 

シャワーと洗濯をすませたあと、近くにある唯一のレストランに向かった。

宿の近くにはスーパーがなくホテルには自炊の設備もないため、夕飯の選択肢はそこしかなかったのである。

 

 

肉の甘味

 

 

そのレストランでわたしはメニュー(その日のコース料理)を、夫は赤身のサーロインステーキを注文。

 

肉奉行の夫はずっと「ステーキを食べたい」と言っていたが、自炊の設備がある宿では自炊していたためその機会がなく、今回が巡礼始まって以来初のステーキである。

 

運ばれてきたステーキは分厚くレアな状態。

味付けはほとんどされていなかったが、夫曰く「肉の甘味がすごい」ので、めずらしく夫は塩を追加せず肉そのものの味をかみしめていた。

 

わたしのコースメニューも素晴らしかった。

チョリソとベーコンをひよこ豆とともに煮込んだスープと、魚の白身とアサリのムニエル。

 

値段は他の店と比べると割安で、巡礼中一番の満足度であった。

 

 

その翌日はホテルの朝食をたんまり食べた。

バゲットをおかわりし、搾りたてのオレンジジュースを飲む。

 

生搾りのオレンジジュースは前回の巡礼では気軽に飲んでいたが、現在では値上がりと円安のため手が出ない価格になっている。

 

朝食に含まれているのを見ておおいに感激した。

ビタミン補給、これでシミは増えない、とありがたみを噛み締めながら大事に飲んだ。

 

そして9時すぎにチェックアウト。

いつもと比べ1時間ほどゆっくりとしていたのは、その日予定した距離が短かったからである。

 

後編へ。

 

 

(塀の向こうのガウディ。

レゴみたいだなあと思った)

 

(ガイコツかと思った……)

 

(今日何回目の丘だろう)

 

(丘の頂上からの眺め)

 

(別の方向には海)

 

(ひよこ豆煮込み。

帰国したら業務スーパーのソーセージとひよこ豆で再現してみたい)

 

(スペインではレアが多いのかもしれないが、それにしたってレア具合がすごい。

肉本来の味わいだった)

 

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