少しだけ近くなる距離 | アラフォー奔放記

アラフォー奔放記

お手本にならない生き方

そして、夜景の観覧。

地元育ちの彼でもその景色は新鮮に写ったらしく、感激している。

方角がピンと来なくて、的外れなことを言うのも可笑しかった。

せっかくなのでお酒を注文。

「私ここでお酒を頼むの初めてなの」

あなたが初めてなんですよと伝え、二人で乾杯する。
彼にとってもこんな雰囲気の場所で、グラスに入ったビールを飲み、自分より大分年上の女性と過ごすのは初めてになるのだから、いい経験値を積むことになるだろう。

これって…マイフェアレディの男女逆バージョンだ。

そうか、私は彼に色々な世界を見せてあげ、育て上げたいのか。
ううん、そこまで言うと大袈裟になるから、自分の知っている世界や知識を伝授して、素敵な男性になってほしい…と言うことかな。


飽きることなく話が続くのは、彼から聞かされるリアルタイムな学生生活と、プラス人と違う視点と好奇心を持った趣味の域に私も興味が惹かれたから。
そして徐々にわかってきたことだが、彼自身、私の話すことに本当に興味を持ち、一言も洩らすまいという姿勢で耳を傾けているからだろうな。

いつまで続くか分からないけれど、話題が枯渇するまでこのスタンスでお付き合い出来たらいい。
男女の仲になることはまずなさそうだから…。


そんな風に考えながら一杯のお酒をゆっくり飲んでいると、話の流れから指を合わせることになり真剣にその遊びに興じた。

ここで彼の表情から真意を探ろうとする。
でも無邪気なのか真剣なのか分からない。ただ緊張と照れに似たものは表れている気がする(とたんに手がべっちゃりと汗をかいたから)


思いの外、長居をしてしまい帰りを促す。
いつも私が切り出すのは、年下ゆえに遠慮しているのだろうか。

ただ今回初めて話の流れで、ん??となるセリフを彼が言ったのだ。

『友達とカラオケや飲みに行った時、いつも遅くなることは常で。朝までそのまま続くことが多いから親は何も言ってこない(心配もしない)んです』

そこを二度三度聞かされたような気がするけれど、久しぶりのお酒に睡魔が襲ってきてはっきりと覚えていない。


帰りエレベーターを待つ間、前のお客様と同室になるのを避けて1つ見送り、二人だけで乗り込む時もいつも以上にこちらを見る姿勢をとっていたのも気になる。

もう1つのエレベーターは、一組のカップルと乗り合わせてしまい それは無理だったけれど、酔いが回ってもたれていた私の背後に至近距離で立ち、無言でこちらを見ていたのもわかった。


なぜか分かってしまいます。
男性の距離感がつかめなくなり、視線に熱が帯びるのを隠せないところ。

それが好意を持つ人だったらとても光栄ですし興奮材料にもなるけれど、そうじゃない人だったら、とたんにその空気をかき消すようにして色気のある雰囲気をぶち壊します(ちゃんとフォローしつつ)

優弥さんにもそういうスイッチがあるんだ…


見つめられる背中がくすぐったくなるぐらい、ガン見され、徐々に間合いを詰めてくるのも感じたが絶対に後ろを振り返らなかった。

エレベーターを降りすぐに目の前がお互い別々の方向の帰路だったので、にっこり笑いながらお礼を言うと、かぶさり気味に優弥さんもお礼を述べてくる。

あっ…なんか手をとって握手したい

久しぶりのこの感情。
でもそれをするには彼は若すぎる。
今やってしまうと、年上のエロ女性が若い男性に触れたがっているような図にしか見えないだろうなと思い、ストップした。

でも優弥さんの表情かららそんな私の感情が見て取れたのかもしれない。
半歩前に踏み出す感じで私の口元を見、何と言われるのか一瞬待つ素振りを見せた。



我慢して良かった。
だってまだ会って数回目だもの。
もっとこの関係を味わいたい。