桜庵の箏日記 ~箏の絃の締め加減~

 

  日曜日担当、箏・三絃大好き「桜庵」です。

  今日は「箏の絃の締め加減」の話です。

 

  箏の絃の締め加減については、

  様々なサイトで検索できますが、

  たいてい、

  「絃の太さ」と「絞める強さ」について

  書いてあります。

  材質も気になるところですが、

  最近は、絹糸を張る人は、限られています。

  絹糸は、高価で、切れやすいので、

  化学繊維(テトロン)の糸の使用がほとんどです。


  今日の話は、テトロン糸の話です。

 

  箏の絃の太さは、

  「17」か「17.5(17半)」か「18」で、

  琴屋さんにお任せすると、

  多くの場合、

  「17.5」の絃を張って下さるようです。

 

  若い琴屋さんに、

  「17」や「18」を張ることがありますか?

  とお聞きしたところ、

  「時にありますよ。

  男性の方で18番でしっかり締めてくれ、

  と、言われましたが、

  僕も簡単には締められません。

  弾く方も大変だと思います。

  17番は、高齢な方に頼まれて

  使うことがありますが、

  通常の17.5に比べると

  随分と細い感じがしますよ。」

  と、言うことでした。

 

  次に

  絃の張り加減ですが、

  絃を張る強さは、

  「六本」とか「七本」、「八本」

  などがあるようです。

  ここでは、

  「通常の箏(五をⅮで取る曲の演奏が中心)」の張り方と

  「低音用箏(五をGで取る曲の演奏用)」の張り方、

  の2種類で考えてみます。

 

  というのが、

  私が琴屋さんに

  「絃の張替え」や「絃の締め直し」

  をお願いするときは、

  次のようにお願いしているのです。

 

①   「この箏は、古曲の双調(五がG)の曲

  が弾けるようにしてください。低音専用にしたいので。」

 

「この箏は、普通の高さ(五がⅮ)にして下さい。

  ただし、一の絃が、小柱(こじ)で

  低いCが取れるようにしておいてください。」

 

③「今回は、

  基本は普通の高さ(五がⅮ)だけれど、

  小学生の出前講座用に、

 『春の海』も弾けるよう、

  一の絃は、小柱(こじ)で低いB、

  二の絃は、小柱で、低いⅮ  、

  三の絃は、小柱で、低いE  

  が取れるようにしておいてください。」

  と、お願いすることもあります。

 

  さて、

  ①と②の箏について、

  具体的に、いくつか

  確かめてみたいと思います

  なお、枕角(まくらづの)というのは、

  矢印先の、白い部分です。

 

①   「五をⅮ」で張ってもらった平調子の箏

  (通常使用の箏)

 五の絃の枕角から琴柱までの長さは、70.5cm

  十の絃の枕角から琴柱までの長さは、35.5cm

 巾の絃の枕角から琴柱までの長さは、23. 0cm

  七(G)の裏(うら・琴柱より左側の音)の音程は、

  Aより少し低い

 巾(A)の裏の音程は、

  E♭より少し高い

  

  ということで、

  いくつかの資料を参考にさせていただいて

  判断すると、

  「七本半」

  という締め方のようでした。

 

 

➁「五をG」で張ってもらった平調子の箏

 (低音専用の箏)

 五の絃の枕角から琴柱までの長さは、63.0cm

  十の絃の枕角から琴柱までの長さは、32.5cm

 巾の絃の枕角から琴柱までの長さは、21.8cm

  七(G)の裏の音程は、ぴったりG

 すごい! 同音です。

 巾(A)の裏の音程は、Dより少し低い

  

  ということで、

  いくつかの資料を参考にさせていただいて

  判断すると、

  「六本」

  という締め方のようでした。

 

 

  ところで、

 箏にもよると思いますが、

  箏は、ある程度、

  絃を強く張った方が、

  良い音色(響く音)がするようです。

 

  根拠は、

  数年前に購入した、私のお気に入りの箏で、

  強く締めていた箏(七本から七本半)の絃を、

  緩めてもらった(六本)結果、

  響きが悪くなってしまいました。

 

  また、

  昔から持っている固くて重いクリ箏を、

  低音用(六本より少し緩め)にした時も、

  全く音が響かない状態になり、

  あわてて、元の高音用(七本から七本半)に

  もどしてもらった経験があります。

 

  そうかと言って、

  絃を強く張り過ぎると、

  押手が十分出来なかったり、

  (固くて押せない)

  ピチカットが出来なかったり、

  (固くて、絃が持ち上がらない)

  します。

  場合によっては、

  指を痛めたり、

  肩や腕を痛めたりします。

 

  音質も、

  箏の響きを通り越して、

  金属音になってしまいそうです。

 

  琴屋さんと相談しながら、

  箏の状態と自分の弾き方と、

  弾く曲の音程、を考えて、

  「箏の音を、最も美しく響かせることができる締め加減」

  を探すのが、理想と思えます。

 

  参考までに、

  私が今一番良く演奏会で使用する箏は、

  17.5番を

  七本か、七本半に少し近いくらいに

 締めていただいたのが

 一番良く、音が響くような気がします。

 

 

追 伸

  世の中では、

  今やイノシシ、クマは、

  人にとって、脅威の動物に

  なっています。

  でも、

  我家の庭のクマさんは、

  のんぴりと、カッパのおじさんと

  釣りを楽しんでいます。

  何やら、世間話も聞こえてきます。

  「世の中、平和じゃなあ~。」

  「ほんまになあ。」

  なぜか、岡山弁!

 

  長閑(のどか)だなあ~。

 

 

では、また来週! 桜庵でした。