ごきげんいかがですか
土曜日はジジイの独り言
角砂糖
「いくつ?」と尋ねる。「じゃ、一つだけ。」と彼女がこたえる。場面は喫茶店。
いくつ?の対象は角砂糖。来たばかりの熱い珈琲に入れてあげる数を尋ねていたのだ。なんとも、懐かしい青い時の情景だ。
角砂糖と言うのは、とZの世代には説明しなくっちゃいけないかもしれないな。角砂糖と言うのは一辺が1cmぐらいのサイコロのような砂糖で、一個はやく3~4グラム。今どきは、スティックシュガーだけれども、前はビンに角砂糖が入っていた。スティックは、サラサラの砂糖が紙の細長い袋に入っているので、指でつまんで、自分の好みの量だけ入れることが出来る。つまりは、砂糖の入れる単位が、広がった。優れものだなあ。でも、はるさんにしてみれば、わざわざ袋にいれて、その袋のごみが気にかかるし、残った砂糖も気にかかる。捨てるのか?
だいたい今どきは、砂糖もミルクも入れない人が増えている。ブラックとか言うらしい。糖分の多い食品に囲まれて生活する人の知恵かもしれない。何がうまいんだと思うけれど、うまいんだろうな。
角砂糖の形は自由に変えられると思うんだ。当然色も付けられると思うな。だから、レトロな音楽喫茶なんかで、ピンクのハート型の角砂糖をスプーンに乗せて、目の前の美女に尋ねてる。
「いくつ?」
「私 ブラック」
途端に、「運命」が鳴る。だ だ だ だーん。
ああ、ジジイがまた、悪い夢を見た。
御機嫌ようさようなら
山峡をバスゆきさりぬ ふきのとう
三好達治
※蕗の薹を食べました。あく抜きが不十分でした。